哨戒鑑沈没:行方不明者家族の「美しい決断」(下)

投票で決定し反対者も納得、一般市民ら「つらい決心」を慰め

 そのとき、ムン・ギュソク中士の義兄、パク・ヒョンジュンさん(38)が、直接見てきた捜索現場について語り始めた。潮の流れが激しく、捜索作業が可能な時間が1日に4回しかなく、それさえも天候や潮流の助けを借りなくてはいけないと説明した。この日発見された故ナム・ギフン上士の遺体は損傷が大きくなかったが、時間がたてばたつほど、状況は悪くなるという。家族の叫び声は小さくなっていったが、そのほおには涙があふれた。簡単には決断できないと見て、投票で決めることにした。キム・テソク上士の兄、テウォンさん(45)は、「賛成の人は壇上の左側に集まるという方法で投票を行ったが、5、6人を除いて大部分が賛成した。反対した家族らも、投票結果を受け入れた」と話した。

 家族らは「さらなる犠牲に対する憂慮」から、捜索をあきらめた。行方不明者の捜索に参加したハン・ジュホ准尉(53)が先月30日、呼吸困難によって意識不明となり、その後亡くなった。今月2日には、捜索作業に参加していた底引き網漁船98クムヤン号(99.48トン)が、行方不明となり、キム・ジェフ船長(48)を含む9人が海上から消えた。つらい時間を過ごしていた家族らは不安が増した。

 進まない捜索作業も、行方不明者の家族をやきもきさせた。家族協議会の関係者は「1日に数分程度しか作業できないため、このまま作業を続けると1年かかるらしい。進展がない状況なので、苦渋の選択をした」と話す。

 市民らは厳しい決断を下した行方不明者家族に対して、「涙の決心」だと激励し、慰めた。あるインターネットユーザーは、「血を分けた子供の悲惨な死がどれほどつらいか想像を絶するが、さらなる犠牲を望まないという、他人を思いやる心の広い決定に、神様の助けがあるよう祈る。亡くなった方々の冥福を祈るとともに、家族の皆さんの幸せを願う」と、チョソン・ドットコムの掲示板に書き込んだ。

平沢=李永民(イ・ヨンミン)記者

キム・ガンハン記者

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朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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