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水俣病:29日に和解合意…不知火患者会が受け入れ決定

和解受け入れを決める採決で原告団員証を手に挙手する原告団ら=熊本県水俣市で2010年3月28日午後3時42分、矢頭智剛撮影
和解受け入れを決める採決で原告団員証を手に挙手する原告団ら=熊本県水俣市で2010年3月28日午後3時42分、矢頭智剛撮影

 水俣病未認定患者団体「水俣病不知火(しらぬい)患者会」(熊本県水俣市)が国と熊本県、原因企業チッソ(東京)に損害賠償を求めた訴訟で、同会は28日、水俣市で原告団総会を開き、熊本地裁が示した和解案の受け入れを決めた。被告3者は既に受け入れを表明しており、29日に熊本地裁である和解協議で基本合意成立は確実となった。3万人以上に上るとみられる未認定患者の救済問題は、事実上決着へ向かう。

 総会には原告2123人のうち1050人が出席し、931人分の委任状が出た。患者会の大石利生会長は「原告のうち55人が既に亡くなっており、早期救済を求めたい」と述べ、挙手による採決で反対は1人だった。

 和解案は▽一時金1人当たり210万円▽療養手当同1万2900~1万7700円(月額)▽過去の活動費補てんなどで原告団に29億5000万円の団体一時金--を支払うなど。熊本地裁が提示した。同会は東京、大阪地裁でも会員58人が訴訟を起こしているが、今回の和解内容に沿った解決が図られる見通し。国は他の未認定患者についても、昨年成立した水俣病被害者救済特別措置法(特措法)に基づき、同様の条件で救済を進める方針。「水俣病出水の会」(鹿児島県出水市)など3団体(計約4300人)は和解案に準じた救済案を受け入れる方向で、国は4月にも特措法に基づく救済方針を閣議決定し、5月1日に開かれる水俣病犠牲者慰霊式までに救済手続き開始を目指す。

 ただ、もう一つの訴訟派団体「水俣病被害者互助会」(水俣市)は、水俣病認定基準の見直しなど、より抜本的な解決を求め、原告9人が熊本地裁で裁判を続ける意向だ。

 不知火患者会は1人当たり850万円の損害賠償を求めて05年10月に第1陣50人が提訴し、現在の原告数は2123人。裁判での解決を求める立場から特措法による決着を拒み、国も判決を求めていたが、昨年10月、田島一成副環境相が患者会に和解方針を示し、今年1月から熊本地裁で和解協議が始まった。

 国が目指す新救済策の対象者は、認定申請者7608人と、認定に代わる新保健手帳を受けた2万6670人(ともに2月末現在)の計3万4278人。認定申請者でつくる最大の訴訟派団体・不知火患者会との合意が、決着の前提となっていた。【足立旬子、西貴晴】

毎日新聞 2010年3月28日 20時48分(最終更新 3月28日 23時40分)

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