【北京=峯村健司】中国の警察当局は3日、中国製冷凍ギョーザ事件で拘束されていた製造元の天洋食品(河北省石家荘市)の元臨時工員、呂月庭容疑者(35)を危険物質投与の疑いで逮捕した、と発表した。警察当局は、呂容疑者は農薬成分を混入した事実を認め、「大量の証拠がある」としている。
危険物質投与罪の最高刑は死刑。中国の刑事訴訟法では重大な犯罪の場合は最長で37日間、警察が逮捕前に容疑者を拘束して取り調べることができる。逮捕には検察庁の同意が必要で、逮捕によって正式な刑事手続きが始まることになる。呂容疑者は今後本格的な取り調べを受け、起訴、裁判の手続きに入る。
警察当局の発表によると、呂容疑者は1993年4月から2009年10月まで天洋食品に勤務。給与などの待遇面と、一部の社員に対する不満から、報復のために工場内の冷凍倉庫に侵入し、注射器を使って農薬成分メタミドホスを製品のギョーザに注入した疑い。中国の警察当局は近く捜査員を日本に派遣して警察庁と協議し、証拠の提供を受ける。