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中国、18分野の報道禁止 グーグル撤退直前に通達

2010年3月25日5時31分

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 【北京=峯村健司】中国メディアを管理する共産党中央宣伝部が、人民元の切り上げをめぐる対中批判や食品安全事件など、18分野の報道や独自取材を禁じる通達を報道各社に出していたことがわかった。米インターネット検索最大手のグーグルが中国本土での検索事業の撤退を表明する直前、大衆が不満を募らせる問題の報道を抑え込む異例の通達に踏み切っていた。中国筋が明らかにした。

 通達は劉雲山・共産党中央宣伝部長名で、21日に主要な新聞、テレビ、ラジオ、インターネットニュース各社にファクスで送られた。日曜日にこうした動きがあるのは異例。グーグルが22日に撤退を発表するとの情報を中国当局が事前につかんだため、急きょ通達を出したのだという。

 規制の内容は、2008年の北京五輪の直前に実施された規制を上回る「過去最大規模」(中国メディア幹部)。グーグル問題で米国は中国のネット検閲の中止を求めていたが、こうした敏感な問題で国内の世論を統一し、メディア規制を緩めることはしないという姿勢を明確に示す狙いがあったとみられる。

 劉部長は通達の中で、特に重要な事項として、米国が中国への圧力を強めている人民元の対ドルレート切り上げ問題を挙げた。米議員らによる中国批判の発言などを報じることを禁止。グーグル問題と同様、基本的に新華社通信の記事だけを使うよう定め、評論記事を書く場合は「米国の対応を批判する内容にするように」と強調した。

 このほか対象となった分野は、いずれも庶民が不満を募らせている問題で「報道が過熱すれば当局批判につながりかねない」(党関係者)との危機感がうかがえる。

 大手新聞社関係者は「読者の関心が高い内容がほとんど禁止され、何を報道すればいいのかわからない」と話す。インターネットニュース幹部は「グーグル問題が中国のメディア規制を結果として強めてしまった」とみている。

 中国外務省の秦剛・副報道局長は23日の定例会見で「国家の安全を害する情報を防ぐため、法にのっとったネット管理を緩めることはありえない」と断言している。

    ◇

 〈報道規制の対象〉

■人民元切り上げ問題

■官僚の腐敗

■高額な医療費

■食品安全問題・事件

■新疆ウイグル騒乱

■チベット騒乱

■貧富の格差

■戸籍制度改革

■食用油の価格高騰

■党幹部の人事予想

■大学の自治権拡大

■大学生の就職難

■四川大地震の学校倒壊問題や復興の遅れ

■山西省の不良ワクチン注射事件

■吉林省の製鉄所社長の殴殺事件

■重慶の警察と暴力団の癒着

■不動産価格の上昇と住宅難

■地価高騰をあおる不動産開発業者

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