特定非営利活動法人(NPO法人)「日本パラリンピック支援機構」(東京都新宿区)が、パラリンピック選手強化費などの募金集めに協力した外部の企業側などの了解を得ることなく、5年間の募金収入約6080万円のうち約6割を募金やチャリティー事業の経費に充てていたことが分かった。大手コンビニなどの協力企業側からは「募金全額が日本選手団に寄付されたと認識していた」と疑問の声があがっている。
同機構によると、募金収入から、30%の募金経費▽全額寄付が決められているチャリティーオークション事業の経費――を差し引く形式にしていたという。同機構は、外部の協力企業側にこうしたやり方を説明しなかったことを認めたうえで、今後は募金や事業の収支を明らかにしたいとしている。
同機構は、日本パラリンピック委員会(JPC)を内部に置く財団法人「日本障害者スポーツ協会」(中央区)からパラリンピックの名称使用などの許可を得て、2004年に設立された。同機構が集めた募金はJPC側に寄付され、選手強化費の一部に使われる仕組みになっている。同機構の募金活動は、コンビニや飲食店などに置かれた募金箱で集める方法が多いという。
同機構は04〜08年度に、約860万〜2100万円の募金収入を得た。このうちJPC側へは約170万〜1千万円を寄付し、約5〜8割を同機構の経費として差し引いていた。一方、チャリティーオークション収入からは全額の約440万〜1200万円を寄付した。
協力企業の大手コンビニ「ローソン」は、アテネパラリンピックの開催直前の04年夏、各店舗で「日本選手団応援募金」と銘打って集めた募金約1250万円を同機構に送金した。ローソン本社広報は「募金の全額が選手団に寄付されたと認識していた。当社が募金箱を用意し、集計して渡しており、機構からは経費を引くという説明はなかった」としている。