麻薬密輸罪に問われ、中国政府が5日にも死刑執行すると通告している赤野光信死刑囚(65)=大阪市出身=の小中学校の元同級生らが、死刑回避を求める「救援活動」を続けている。「犯した罪は軽くはない。でも、死刑は厳しすぎる」と訴えている。
赤野死刑囚は2006年9月、大連の空港から日本へ覚せい剤約2・5キロを密輸しようとしたとして拘束された。中国の刑法では50グラム以上の密輸の最高刑は死刑だ。
小・中学校が同じだった喫茶店主の松枝克子さん(65)らは一審判決で死刑が言い渡された08年夏以降、手探りの活動を続けてきた。元同級生や恩師から集まったカンパは約100万円。現地の弁護士費用や親族の渡航費に充てた。
中国政府が死刑執行を日本政府に通告したことが報じられた先月末には、元同級生ら4人が集まり、最後まで、日中両政府の関係者に死刑回避を求める電話作戦を続けることを決めた。
関係者によると、赤野死刑囚は高校卒業後、不動産や衣料品販売などのビジネスを手がけた。しかし、中国で拘束される数年前から資金繰りに苦しみ、周囲に借金の相談を持ちかけていたという。元同級生らは「自分から密輸に手を染めたとは思えない」。
松枝さんは「中国の自国民の刑は執行しながら、外国人に慎重なのは矛盾だという中国政府の理屈もわかる。でも、海一つ隔てた日本で捕まっていたら死刑でなかった。やっぱり納得できない」と話した。(石原孝、武田肇)