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「イランは核兵器計画停止」との米情報評価、見直しへ
【ロンドン=木村正人】「イランの核兵器計画は2003年秋から停止している」と指摘した米機密文書「国家情報評価」(NIE)が見直されるとの見方が欧州で強まっている。
NIEは米国の安全保障について中央情報局(CIA)などが集めた情報をまとめた文書。ブッシュ前米政権下の07年12月、一部公表され、「イランは核兵器計画を07年半ばの時点で再開させていない。核兵器用高濃縮ウランの製造技術を身につけるのは10〜15年の間になろう」と指摘した。
当時、イランの核兵器開発を止めるため武力行使の可能性が取りざたされたが、NIEの公表でこの選択肢は排除された。
英紙フィナンシャル・タイムズによると、イスラエルの情報機関は「イランは最高指導者ハメネイ師の指示でミサイルに搭載できる核弾頭開発を05年に再開した」と分析。英情報機関も「ハメネイ師の指示で核兵器計画は03年に停止されたが、04年後半か05年前半に再開した」との情報を入手した。英仏独は、イランが今秋にも核兵器能力を得る可能性があるとみている。
IAEAの天野之弥事務局長が2月18日、イランの核兵器開発に懸念を示す報告書を理事国に配布したのはこうした情報が根拠になっている。
米情報機関は今年、NIEを更新する準備に入ったと伝えられている。元米国務次官補代理で英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)のマーク・フィッツパトリック上級研究員は「前回から2年以上も経過しており、ミサイル搭載の核弾頭の設計を再開したと付け加えるとみている」と述べている。