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イラン核問題で曖昧な中国 内政と外交の狭間でジレンマ
このニュースのトピックス:中国
【北京=川越一】米欧からイランに対する制裁支持を求められる中、中国政府が内政と外交のはざまでジレンマに陥っている。
中国外務省の秦剛報道官は3月30日の記者会見で、「中国は核兵器の拡散とイランの核兵器保有に反対する」と発言。返す刀で「イランは主権国家として核を平和利用する権利がある」と述べ、対話を通じて平和的に解決すべきだという従来の主張を繰り返した。
米国主導で進む制裁案協議には、中国と歩調を合わせてきたロシアまでもが前向きな姿勢を示している。国際的に孤立することは中国政府も望んではいない。だが、北朝鮮制裁決議には同意しても、イラン制裁案には簡単に首を縦に振れない理由が中国にはある。
温家宝首相は3月22日の経済討論会で「失業者が2億人」と明かした。今後、産業の高度化に伴い雇用創出はさらに困難となる。社会の安定のためには経済成長の持続が不可欠で、現在の8%成長がギリギリの線といわれている。
成長を支える資源の確保は、体制維持を至上命題とする共産党政権にとっては重要案件の1つ。重要な原油供給国であるイランとの関係悪化は内政問題に直結しかねず、それがあいまいな態度の背景にありそうだ。