捕鯨問題では、なぜ、一般の日本人が食することもないのに採り続けるのか、伝統的ということで世界中から非難される漁法を続けなければならないのかなど、本質的な疑問に応えなければ、ますます世界で非難されて、孤立を深めていくことになりかねない。

 そうなれば、当然貿易関係にも支障をきたし、為替も弱くなるだろう。21世紀はエコの時代と世界中が認めているのだから、日本側の対応もそれに適応したものにしなければならないのだ。

高金利の外貨投資で損をする“カラクリ”

 前ふりが長くなったが、ここからは本題のオーストラリアドル(以下豪ドル)について解説していこう。豪ドルは、米ドル、ポンド、ユーロ、円と並ぶメジャー通貨のひとつだが、取引量は少なく、スイスフランやカナダドルと同程度になっている。

 ではなぜそんな通貨に投資するのかというと、もちろん金利が高いからである。オーストラリアの金利は、21世紀に突入して以来、先進主要国の中でも高金利を維持している。その背景には、中国の経済成長や資源価格の上昇があり、好景気が続き労働市場もタイトになっていることがある。

 オーストラリアはもともと資源大国で、農産物はもとより、鉱物資源やエネルギー資源など多くの資源に恵まれているところから、豪ドルは資源国通貨(コモディティ通貨)と呼ばれることもあるくらいだ。あらゆる資源を輸出することで成り立っている資源貿易国である。

 実際にオーストラリアの輸出品ベストスリーは、石炭(14・2%)、鉄鉱石(8・8%)、金(5・6%)で、鉱物資源が全体の約40%を占める。そんなところから、豪ドルはコモディティ価格の動向に影響を受ける。

 最近、原油や金が高騰している中で、コモディティ価格と関連して、豪ドルも上昇している。そこに目を付けたのが世界の投資家たちで、豪ドルへの直接から豪ドル建ての金融商品にまで投資していた。

 ただし、豪ドルにもデメリットがある。まず、通貨流通量が少ないために、為替の動向が激しいこと。機関投資家やヘッジファンドからの取引で、大きく値が動くので動向が読みにくい。

 流通量が少ないので換金手数料も高くなっており、他の外貨に比べて金利は高くても、結局は、手数料の安いユーロに投資した方がお得だったということがあるわけだ。こうしてみると、投資対象としては金利が高い割には効率的ではなく、「第3の通貨」という扱いが妥当なのかもしれない。逆にいうと、値動きが激しいからこそ、大勝負には向いているというプロの判断もできるのである。

オーストラリアの最大のクライアントは日本

 そこで、オーストラリアの基本的な情報を紹介していこう。南半球に位置して、面積は約770万平方キロで日本の20倍で、アラスカを除いた米国とほぼ同じ大きさである。そこに暮らすのは、2000万人で人口密度はかなり低くなっている。

 英語圏の英国連邦の一員で、立憲君主制をとっており、現在は労働党のケビン政権である。1980年代くらいから、日本の金融機関が高金利通貨として、豪ドルを投資の対象にして、国内の個人投資家外貨預金・外債投資として売り込んでいった。

 オーストラリアからすると、日本は一番の得意客で、最大の投資家(クライアント)となっている。そんなところから、オーストラリア債の3分の2前後を購入しているとの見方も、一部にはあるようだ。

 オーストラリアの貿易の最大のパートナーは日本で、次に米国で、アジアの地位も非常に重要で、輸出の50%、輸入の40%を占めている。最近では、中国通のラッド首相が政権を取ってから、中国との関係躍進が目立ち、輸出入とも10%の上昇を示している。中国をはじめとするアジア経済の発展・拡大が豪州経済の発展・拡大に繋がりやすいということである。

 一方で、ニュージーランドとの連動性も非常に高い。以前はポンドとの関係が深かったが、対米ドルに対し、最近ではユーロとの連動性が強くなっている。

 前述したように、これまで高金利を売り物にした売出し債の発行により、日本からの資金がオーストラリアに流れ出し価格押し上げ要因にもなっている。

 逆にいうと、高金利ということはインフレ率が相対的に高いとか、高金利を提示しなければ投資してもらえない経済状態にあるということを認識しておくことも大切である。ということで、豪ドルは日本では人気の高い通貨だが、外国為替市場においてはそれほど重要視されていないのである。

鉄鋼石を運ぶダンプカーの運転手の年収が1800万円

 外貨投資には為替情報の収集が必要だが、豪ドルの場合、まずファンダメンタルズをチェックすることから始める。



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プロフィール
橘 尚人タチバナ ナオト

大学卒業後、生命保険会社や投信会社などいくつかの金融機関を経て、現在、外資系投信会社でマーケットアナリストを務める。これまで金融商品の企画・設定から市場の分析に携わり、各方面で実績を積み、高い評価を受けている。一方、格差社会の問題にも関心高く、小泉構造改革の矛盾点を鋭い視点から分析する異色のアナリスト。著書に「石橋は渡るな!‐爆騰狙いのハイリターン投資入門」(光文社ペーパーバックス)がある。


本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る


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