きょうの社説 2010年4月5日

◎BCリーグ開幕 地域貢献も一層盛り上げを
 プロ野球独立リーグ・BCリーグは4年目の幕を開けた。昨シーズンの北陸地区プレー オフを戦った石川ミリオンスターズと富山サンダーバーズはともに新監督のもと、リーグ王座奪還と初の独立リーグ日本一を目指している。ファンを魅了するプレーと「スポーツ市民」としての地域に根差した取り組みによって、地元に一層の元気を与えてくれることを期待する。

 世界的な不況の影響で企業スポーツの休廃部が相次いでいるなか、野球を通じて地域振 興につなげるBCリーグの役割は一層高まっている。年を重ねるごとに認知度を増している「ふるさと球団」をより多くの県民の力で後押ししたい。

 昨シーズンは、劇的な逆転サヨナラホームランで石川ミリオンスターズが富山サンダー バーズを下して地区優勝を決めるなど、野球の醍醐味(だいごみ)が味わえる試合が繰り広げられた。新たに指揮を執る石川の森慎二監督が「勝つ」、富山の横田久則監督が「頂(いただき)へ」をそれぞれ今年のテーマに掲げるように、新生チームの勝負に対するこだわりと鍛え上げてきたプレーが楽しみである。BCリーグからはNPB(日本プロ野球機構)入りした選手も出ており、リーグの評価と注目度が高まっている。スリリングな試合展開と選手育成に努め、青少年らに野球、スポーツの楽しさ、素晴らしさを伝えてほしい。

 BCリーグの魅力は選手とファンとのつながりの深さである。選手たちが地道に実践し てきた活動の一つ一つが、チームを応援、支援する力になっている。地域貢献プロジェクトとして昨年も石川、富山では児童生徒らを対象にしたあいさつ運動や野球教室、防犯運動などの啓発活動が行われた。今年もさまざまな機会を通じて地域の人々との触れ合いを深めることが大事である。

 独立リーグは経営基盤の強化という課題を抱えながら、4つのリーグが活動し、広がり をみせている。スポーツは地域や人々に活力をもたらす大きな力を持っており、北陸が名実ともに独立リーグの中心地となるように球場に足を運んで声援を送りたい。

◎市町村への権限移譲 実績と能力の検証が必要
 鳩山内閣が進める地域主権改革の柱の一つである都道府県から市町村への権限移譲につ いて、中央省庁の後ろ向きの姿勢があらためて浮き彫りになった。政府の地方分権改革推進委員会が勧告した384条項のうち、省庁から前向きの回答があったのは25%の96条項にとどまった。

 鳩山由紀夫首相が「非常に不十分だ」と強い不満を表し、政治主導で移譲項目を増やす 考えを強調したのはもっともといえる。全国市長会も、政府が6月に原案をつくる「地域主権戦略大綱」に分権委の勧告を上回る権限移譲を盛り込むよう緊急の要請書を提出した。が、こうした要請行動だけでなく、省庁に根強い「地方不信」を取り除く努力も自治体側に求められよう。権限移譲に対応する自治体の事務能力や専門知識に不安があるという省庁側の言い分に対し、これまでの権限移譲の実績と能力をまず示すことだ。

 都道府県から市町村への権限移譲は、2000年の地方分権一括法施行で、知事権限の 事務を条例で市町村に移管できるようになってから着々と進められている。住民に最も身近な基礎自治体の判断と責任で行政サービスを行う地方分権の理念に沿うもので、市町村合併の進展で取り組みはより本格化し、都市計画に関する開発行為の許可や違反屋外広告物の除去、農地転用の許可など多くの事務が市町村に移譲されてきた。

 ただ、権限移譲の進め方には都道府県によってばらつきがあり、進ちょく度にも濃淡が ある。数次にわたる「権限移譲推進計画」を立てて実施するところがあれば、石川県や富山県のように県全体の行財政改革の一環として取り組んできたところもある。

 多くの場合は、市町村側からの求めに応じて行われるため、意欲や受け入れ能力の違い で、同一県内の市町村でも権限移譲に差が生じているのが実情である。今後の地域主権改革で市町村への権限移譲を積極的に推進していくには、過去10年間にわたる取り組みの中間総括を行い、自治体側の能力や課題などについて検証する作業も重要であろう。