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【ドラニュース】


和田、サヨナラ仕事人だ

2010年4月4日 紙面から

中日−阪神 9回裏無死満塁、サヨナラの中犠飛を放ち、ナインの手荒い祝福を受ける和田(右から2人目)=ナゴヤドームで(榎戸直紀撮影)

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 勤勉なベンちゃんがきっちり決めた。3日の阪神戦(ナゴヤドーム)。同点の9回無死満塁で、和田が中堅へサヨナラ犠飛。好調な森野らがつくったチャンスをものにし、チームは今季2度目のサヨナラ勝ち。初の3連勝をマークした。セ・リーグは前日(2日)に続いて3試合とも1点差試合。いずれも前日に勝ったチームが勝った。ドラゴンズはやっぱり勝ち組がよく似合う。4月は負けなし。さあ常勝モードだ。

 一振りが結末を書き変える。和田にも分かっていた。「決めるところなので、自分自身、大事な打席だと…」。9回裏、案外難しい無死満塁。打てばサヨナラ。ミスすれば、一気に空気がよどむ。ヒットも本塁打もいらない。中犠飛。ほしい1本をきっちり打った。歓喜のサヨナラ。今季初の3連勝だ。

 元気なバットに陰りがあった。開幕から打ちまくったが、前日(2日)までの2試合は計6打数1安打。井端が6番から1番に移ってから快音が消えた。和田の後ろは新人の松井佑になった。

 落合監督も前日の試合後、「全部和田が死んじゃってる。そこをこれからどうやって解消していくかだろう」と、課題に挙げていた。周囲は当然心配する。ただ、本人には信念があった。

 「打順がどうであろうが、ボクの打つところは5番と決まっている。だからストライクが来れば打つし、来なければ打ちにいかない。ストライクを打つか打たないかがすべてだと思う。自分のやるべきことをしっかりやるだけです」

 職人かたぎ。前日は敬遠2つで阪神バッテリーがフラストレーションを与えてきた。「感じないです。それが野球だと思う。確率の問題です。そこでいらつくこともなく、受け止める」。打ちたい。だけど、やるべきことがある。そこに意識を注ぐ。

 爽快(そうかい)にかっ飛ばすことより、チームが勝つこと。野球というゲームを追求する男だ。西武から移籍1年目だった08年1月。和田は佐賀・武雄温泉で恒例の自主トレを始めた。ある夜、自主トレ仲間との酒席でこんな話をしたという。「3年契約がうれしい。あと3年間は野球をやれる。それがうれしい…」。古巣の提示は2年。中日は3年。金額は二の次だった。好きな野球があと3年できる。それがよろこびだった。

 サヨナラのおぜん立てはもう1人の絶好調男だった。森野が無死一塁から中前打。一、三塁にチャンスを広げた。これで2戦連続3安打。3&5番が打てば活気づく。森野によれば「落ち着き」も出てきたようだ。

 「落ち着いてできていると思う。みんな自分の役割が分かるから。スタメンがいつも変わってたけど、(ここ3戦は)変わってない。だから控えの人は控え、最初から出る人は出る、そういう役割が分かるところはあると思います」

 新オーダー3戦目。結果は3連勝。「勝ち方っていうのを、みんな分かってくるんじゃないですか。僕自身もそうですし。ここで先頭出れば…とか、ここで四球でつなげば…とか」。間違いなく、流れはいい。

 森野の打率は驚異的な5割1分7厘。ボールが止まって見えるのか? 「なワケないでしょ。ボールは動いてます!」

 和田は5割。セ・リーグの打率1、2位に陣取る2人がいる豪華な中軸。もっと白星を運び続けてくれる。 (生駒泰大)

 

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