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ギャンブル依存症:借金が深刻、“脱出”を 対策へ自助団体活動 /香川

 ギャンブル依存症に端を発した借金問題が深刻だ。周囲に病気と理解されにくく、医学的治療も難しいため、自助グループによる活動が対策の中心。依存症に苦しむ体験を聞いた。【松倉佑輔】

 ギャンブル依存症(病的賭博)は世界保健機関(WHO)も認定している精神疾患。強迫的にギャンブルを続け、借金を重ねてしまうケースが多い。

 多重債務者の支援に取り組む「高松あすなろの会」によると、同会への借金の相談者は09年は363人と前年より93人減。改正貸金業法による規制強化が要因とみられる。一方、借金の原因をギャンブルと答えた人(重複あり)は全体の36・1%(同8・7%増)と増加し、ヤミ金被害者も、うち34・7%。

 同会は、相談者の半数に自助グループ「ギャンブラーズ・アノニマス(GA)ハッピー高松グループ」を紹介。会員が対等の立場で体験を話し合い、立ち直りを目指す。

  ◇

 高松市の男性(42)は大学卒業後、大手マンション分譲会社に就職。営業の合間に同僚と競輪を始めた。負けが込み、給料をつぎ込んでも金が足りない。同僚に「すぐ借りられる」と促され消費者金融から50万円借りた。

 借金は200万円まで膨らんだが、親が肩代わり。ギャンブルをやめる決心をしても、またすぐに始めてしまう。再び借金を重ね、結婚後には400万円に。妻の定期預金から100万円を持って家を飛び出し、仕事にも行かず半年間、車中で暮らした。現在は働いて返済を続けるが、不安からGAへ。「ギャンブルをしたい気持ちは残っているが、もう家族にうそをつきたくない」と心境を話す。

 三豊市の男性(54)は、20歳の時、初めての競艇で大勝ち。パチンコも始めた。借金が160万円になった時点で取り立てがあり、家族に気付かれた。親せきに立て替えてもらい、3カ月はやめられたが、その後、友人らに200万円借り、親せきに見放された。古里の土地を売り、高松市に1人で出てきた。

 立ち直ろうと仕事に打ち込み、結婚も。しかし「緊張感がきれた。心の余裕がパチンコ台に向かわせた」。貯金を崩しても足りなくなり、また借金。約700万円に膨れ上がり、妻とは離婚した。

 債務相談で紹介されたGAに通い「最初はギャンブルを取られることが嫌だったけれど、新しい人間関係に生きがいを感じている」と話す。

  ◇

 精神科医の藤岡邦子県精神保健福祉センター所長は「アルコールや薬物依存症のように薬があるわけでもなく、いわゆる『治癒』は難しいのがギャンブル依存症。本人が自覚して、自助グループなどで活動を続けるのが大切」としている。

毎日新聞 2010年3月17日 地方版

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