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【茨城】

那珂の女性殺害 起訴内容を一部否認

2010年3月17日

 福島県いわき市で昨年八月、那珂市の不動産会社社長石川光枝さん=当時(59)=から現金などを奪って殺害したとして、強盗殺人などの罪に問われたいわき市の無職、佐藤文彦被告(49)の裁判員裁判が十六日、水戸地裁(河村潤治裁判長)で始まった。県内で殺人事件を対象とした裁判員裁判は初めて。佐藤被告は「はじめから殺そうと思っていたわけではない」と起訴内容の一部を否認した。

 検察側の冒頭陳述によると、佐藤被告は二〇〇〇年ごろ、石川さんの仲介で那珂市に住宅を購入。住宅ローンやパチンコでつくった三千四百万円以上の借金の返済に追われ、強盗しようと考えた。

 「生活が苦しくなったのは、石川さんに勧められて家を建てたせいだ」などと思い、石川さんに顧客を紹介すると偽っていわき市に呼び出し、昨年八月十日、車内で現金やキャッシュカードを奪った上、少なくとも三十四カ所をナイフで刺して殺害した、と指摘した。

 一方、弁護側は、被告は石川さんを脅す目的でナイフを購入したが、衝動的に刺してしまった、と主張した。

◆モニターに遺体の写真 目をそらす裁判員も

 検察側は立証の際、図面で遺体にある刺し傷の状況を説明した後、遺体の写真三枚を裁判員の手元にある小型モニターに映した。裁判員の中には下を向いたままモニターを見ようとしない人や、手で口を覆う人がいた。

 また今回は被害者参加人として、亡くなった石川光枝さんの娘二人が検察官の隣に座った。被告の供述調書などで犯行の詳細が読み上げられると、一人は涙を流し、もう一人は合掌するようなしぐさを見せた。

 長女の供述調書で、母親の遺体と対面した際、「助けてあげられなくてごめんね」と声を掛けたことが読み上げられると、目を真っ赤にしてすすり泣く参加人につられるように、数人の裁判員が手やハンカチで涙をぬぐった。被告はずっと、下を向いたままだった。

 

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