「児童ポルノ」として国外から抗議されたこともある日本の成人向けゲームについて、米CNNが特集で放送し、批判が加速している。CNNは、強姦をテーマにした成人向けゲームを「ヘンタイゲーム」と紹介し、ネット上で世界中に拡散していく現状を問題視した。
女性人権団体の「極端な児童ポルノについては、政府が規制に乗り出すべきだ」という意見を紹介し、日本政府の対応を批判している。米国のネットでも「人間らしさをゆがめるものだ」といった非難の声が続出している。
波紋を広げているのは、CNNが2010年3月31日に、東京発で3分半にわたって報じたリポートだ。冒頭で、秋葉原のゲームソフト店の内部が映し出され、販売されている成人向けゲームを「ヘンタイゲーム」として紹介。店頭に並べられているパッケージにはモザイクがかけられており、リポーターが「ヘンタイゲーム」を紹介する中で、「皆さんにはお見せできませんが…」と、ゲームの表現の過激さを指摘する言葉も何回か出てくる。
リポートの中で、名指しで批判されているのが、「レイプレイ」と呼ばれるゲームだ。主人公が、「ポリゴン」と呼ばれる3Dキャラクターの女性に対してストーキング、痴漢、強姦などを行う内容で、リポートでは、ゲームの内容をこう描写している。
「ゲームでは、女性を妊娠させた上で、中絶を勧めることすらできる。ゲームの説明によると、主人公が10代の女性に電車内での痴漢を非難されたことが、強姦の背景だ。動機は(非難に対する)報復だ」
本来、この作品は国内限定販売のはずだったが、アマゾン上の中古市場を通じて、海外でも入手が可能なことが発覚したため、09年に海外からの批判が殺到した。これを受けて、発売元のウェブサイトからは作品紹介が削除され、通販も中止された。そのため、現在では入手が難しい状態だ。
ところが、このリポートでは、英国のゲーム愛好者が
「販売を禁止したとしても、それは絶対に機能しない。なぜならば、ゲームはネット上でダダでダウンロードできるから」
と、ゲームの拡散に歯止めがかからない現状を指摘している。さらに、女性人権団体「イクォリティ・ナウ」のメンバーが
「ネット上の活動を規制するのは、明らかに非常に困難です。しかし、政府は、この種の極端な児童ポルノを規制する役割があるはずです。自国内でも、ネット上でもです」
と主張。
その上で、日本では児童ポルノ所持の違法化に向けた動きが足踏み状態にあることや、政府はCNNのカメラや書面での取材に応じなかったことなどを伝えている。専門家の「ゲームのテーマを規制することは、表現の自由の制限につながる」というコメントを紹介してはいるものの、総じて日本国内の現状に批判的だ。
これを受けて、リポートの内容が掲載されているCNNのウェブサイトには、
「これは気分が悪い。これはアートでもゲームではない。人間らしさをゆがめるものだ」
といった、ゲームを批判するものや、
「爆撃が足らなかったようだ」
と、原爆投下を念頭においたと見られる過激な意見があふれている。
これらの国外からの批判に対して、発売元の「イリュージョン」では、
「残念ながら、弊社製品は自主規制により、日本国内在住の18歳以上の方にのみ販売しており、国外での販売、およびサポートはしておりません。日本国内で購入し、日本国内でプレイされた時に限り、弊社の正式なサポートを受ける事ができます」
との但し書きをウェブサイトに日英2カ国語で掲載しているのみで、事実上国外に対する説明を拒んでいる。メディアの取材にも応じていない。
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