2010年4月3日
08年に京都府警が押収したマジコン。ゲームを保存したメモリーカードを差し込んで使う=京都市南区
海賊版ゲームソフトの被害が深刻化している。インターネット経由でゲームを違法ダウンロードして遊べる「マジコン」と呼ばれる器具が出回り、欧州では任天堂のソフト販売が1年で半減。年間の被害額は少なくとも数兆円規模に達している。事態を重く見た経済産業省は新たな法規制に向け動き出した。
「普通に買うとお金がかかるから。みんな持ってるし、悪いことをしている意識はない」。米ロサンゼルスに留学中の日本人女性(32)は昨年夏、ニンテンドーDS用のゲーム十数本が入った「マジコン」を友人から80ドルで買った。中身は「脳を鍛える大人のDSトレーニング」など人気作ばかりで、通常ならソフトだけで数万円分にあたる。
マジコンはDSのゲームソフトと同サイズの本体と、パソコンを使って違法ダウンロードしたゲームを保存するメモリーカードに分かれる。米国では数年前から、マニアだけでなく一般の人々にも広がっている。
ゲーム機本体には違法ダウンロードしたゲームを作動させない機能があるが、マジコンを使ったり、本体を改造したりすることで遊べるようになる。任天堂が2009年6月、ゲームを違法ダウンロードできる10サイトを調べたところ、累計2億3753万回が確認された。平均単価をかけると被害額は1兆円を超える。その他の各国の調査などから、年間の被害額は最低数兆円を超えると見られる。
ダウンロードできるゲームはDS用だけでなくWiiやプレイステーションなど据え置き型にも拡大。ホームページなどでゲームを公開するのは違法で当局による検挙例もあるが、数が膨大で取り締まりが追いついていない。
被害は欧州にも飛び火。米国の業界団体による昨年12月の調査では、国別ダウンロード数はイタリア、スペイン、フランスの順に多かった。任天堂の欧州などでの昨年4〜12月のDSソフト販売数は前年同期比45%減。日本(同7%減)や米国(同11%減)と比べ大きく落ち込んだ。
待ったなしの状況に、岩田聡社長は今年1月の決算会見で「法と技術の両面から、欧州での海賊行為への対策を進めたい」と話した。対策の中心となるのが、ゲーム機本体を改良し、違法ダウンロードしたゲームで遊べないようにすることだ。
任天堂やソニー・コンピュータエンタテインメントは携帯型、据え置き型ともにネット回線を経由して本体のプログラムを更新したり、新作ソフトに対策プログラムを入れて出荷するなどして違法コピーしたソフトを使えないよう工夫している。ただ、利用者がゲーム機をネットにつながないなどしてプログラム更新を防げる上に、コピー対策を施しても数カ月で破られてしまういたちごっこが続く。
日本では著作権法が改正され、1月から個人によるダウンロードも違法となったが、罰則はない。経済産業省はダウンロードしたゲームを遊ぶために必要なマジコンやコピー対策をかいくぐるよう改造されたゲーム機に着目し、機器を作ったり他人に譲ったりした人を罰する法改正や新法制定を検討している。担当者は「海賊版は一瞬で創作者の努力を奪う。ゲームの資産価値を国内外で守るため適正なルールを作りたい」としている。(溝呂木佐季、上栗崇)
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