非国民通信

未来なんてあるわけがない

公然の秘密

2010-03-11 23:06:38 | ニュース

核密約公表「同盟に影響なし」 米政府受け止め(朝日新聞)

 核密約をめぐる日本政府の報告書について、米政府は公式には静観の構えだ。国務省のクローリー次官補は8日の会見で「特にコメントすることはない」とだけ述べた。

 米政府の内部では「日本政府の情報公開の問題であり、日米同盟に特に影響はない」という受け止めが大勢だ。日本政府が今回公表した内容は、米側がすでに情報公開しているものがほとんど。米政府からすれば、改めて公表されても、日本の内政問題にすぎないととらえている。

 日本国内ではちょっとしたニュースでしたが、アメリカ側の反応は冷めたものです。なにしろ「米側がすでに情報公開しているものがほとんど」ですから。密約といってもその内容はと言えば、わざわざ政治/社会系のブログを読んでいるような人なら、とっくに知っていることばかりですよね。要は「公然の秘密」だったものを、今さらながらに政府筋が認めたというだけの話です。もちろん、政府が認めるか認めないか、そこには重大な違いがあります。しかし、何か新しいことがわかったわけではない、元から知れていたことでもある、その辺も留意しておくべきでしょう。別に政府が影で陰謀を企てていたわけではないのです。

Wポスト紙、民主・藤田議員を酷評 同時多発テロ発言で(朝日新聞)

 米紙ワシントン・ポストは8日付の社説で、民主党の藤田幸久国際局長(参院議員)が同紙に対し、2001年9月11日の米同時多発テロの犯人像に疑問を挟む発言などをしたとして「突拍子もなく、いい加減で、偽りがあり、まじめな議論に値しない」と酷評した。鳩山由紀夫首相が容認すれば、日米関係に影響するとも警告した。

 同紙は、藤田氏が最近の同紙による取材に対し、▽テロリストの犯行かどうかに疑問を挟んだ▽世界貿易センタービルの倒壊が(飛行機の衝突による)火災ではなく、起爆装置で起きた可能性があると示唆した、と紹介。そのうえで、こうした「幻想」は鳩山政権の「反米傾向」を反映していると指摘した。

 こちらはワシントン・ポスト紙の社説であって米政府筋の反応ではありませんけれど、どうも日米「密約」の公表より、こっちの陰謀論の方がアメリカ側からすれば大きな問題として扱われているようにも見えます。まぁ以前より現役の議員や自衛隊幹部が、かのTHE FACTSや田母神作文などを通して何度となくアメリカの歴史観に喧嘩を売ってきたにも関わらず日米関係は微塵も揺らいでいませんから、今回の藤田氏の発言も大したことにはならないでしょう。むしろ私には政権交代してもやはりトンデモが出てくる辺りに鳩山政権の(自民党からの)継続傾向を見るべきではないかと思われます。

「密約」認定、前首相や各党「承知せず」「評価」(読売新聞)

 日米間の「密約」を検証した外務省の有識者委員会が、核搭載船の日本寄港などで「広義の密約」を認定した報告書を発表したことを受け、自民党の安倍元首相は9日、国会内で記者団に「前任者から核密約の申し渡しはなかった」と説明した。

 「冷戦当時の指導者が日本を守るために判断した。判断した人を非難するのではなく、日本の安全のために資する形で考えるべきだ」とも強調した。

 同党の麻生前首相はコメントを発表し、「『密約』は承知していない。核持ち込み問題について、当時の国会・国民への(政府の)説明ぶりは、我が国の安全保障を確保するとの観点に立った賢明な対応だった」と論評した。

 さて密約の話に戻りますが、今さら「知っていたけれど、嘘を吐いていました」とは言えないようです。体面を守るためには「本当に知らなかったのだ」とシラを切り通すしかないのかも知れません。安倍辺りですと前任者や外務省筋が「バカには教えなくて良いだろう」と判断したのではないかという気がしないでもありませんけれど。とはいえ、教えられなければ知ることができないものではなかったはずです。だって私は密約の存在を知っていましたし、それは随所で語られてきたことであり、アメリカ側の情報公開で既に明らかになっていることでもあるわけです。皆さんも大体はご存じだったでしょう? 前任者や外務省が黙っていたって、知る気があれば誰でも知り得たことです。安倍や麻生だって、その気にさえなればすぐに資料を出させることができたはずです。要は知らないのではなく、知らないフリをしてきただけ、隠されていたのではなく、無視を決め込んでいただけなのです。

 一方、民主党の高嶋良充参院幹事長は「明確になっていなかったことを国民に明らかにして透明化を図るところに政権交代の意義がある」と評価した。

 この辺は政権交代の意義に違いないのでしょうけれど、今後はどうなるんだろう、とも思います。自民党が隠してきたことであれば、民主党も公開することに吝かではないかも知れません。ただし、これから増えて行くであろう「民主党が隠したいこと」はどうなるのでしょうか? 沖縄密約は情報リークによって明るみに出ました。権力が秘匿しようとするものを暴く上では、敢えて情報を「漏らす」こともまた社会正義の一つだと思われますが、民主党の考えはどうなのでしょう。民主党にとって不利益な情報、民主党が隠しておきたい情報がリークを通じて公開されることに、民主党及びそのコアな支持層がどういう反応を示してきたかを考えると、先行きは自ずから明らかです。

 行政が嘘を吐いた時、例えば「密約はありません」と答弁するなどした時に、「密約はありません」と政治家と口裏を合わせる官僚と、「いえ、密約はありますよ」と真実を語って政府を窮地に追いやってしまう官僚、どちらが望ましいでしょうか。今まではほぼ100%前者だけで占められていたわけで、こうした状況を民主党は官僚支配と呼んでいるわけですが、後者のタイプが増えなければならないと思います。民主党政権下では官僚答弁そのものが原則禁止となってしまい、何を公開して何を公開しないかは民主党の思惑次第ともなりましたが、そういう状況では過去のライバル政党の秘密は公開できても、現政権の秘密は明らかに出せないでしょうから。

 

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5 コメント

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もちろん私は知っていました (Bill McCreary)
2010-03-12 06:04:31
>だって私は密約の存在を知っていましたし、それは随所で語られてきたことであり、アメリカ側の情報公開で既に明らかになっていることでもあるわけです。皆さんも大体はご存じだったでしょう? 

おっしゃる通り、こんな程度の子供だましの密約を日本政府が頑強に否定してきたこと自体が茶番劇なだけです。

>現政権の秘密は明らかに出せないでしょうから。

という話になっちゃいますよね。じゃあ、また政権交代があったときに明らかになるのか、その時の与党は自民党? 
これができたてホヤホヤの密約 (みつやくる)
2010-03-12 17:24:47
普天間の現行計画容認を一時明言 首相、米大使に
http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010031101000964.html

いまいろんな案が出て、揉めてるように見せかけてるのもすべて茶番であり、結論は最初から決まってたわけですね。
Unknown (非国民通信管理人)
2010-03-12 21:48:52
>Bill McCrearyさん

 そうなんですよね、認めるか認めないかの世界なのですから。これから積み重なって行くであろう民主党の密約もやっぱり次の政権交代まで持ち越しみたいになると、結局は同じことの繰り返しになってしまいますけれど、そこで民主党が自民党との違いを示せるかどうか、ですね。

>みつやくるさん

 アメリカ側には勝手に(地元自治体や社民党の合意なく)色々と約束しているみたいですからね。色々と情報は漏れてきますけれど、民主党には自ら全てをオープンにできるのかどうか、そこが問われるところです。
私も知っていました (ヒイロ)
2010-03-12 22:22:33
日本も密約を米国が公表した後、すぐにでも同様にするべきでした。
西山事件を知ってから密約があるということに気づいていました。また、天木直人氏も「年次要望書」に関連して密約のことをテレビで発言した記憶があります。

この期に及んで密約を「陰謀論」呼ばわりしている連中がいたら、「口を聞きたくないや」という感じですね。

海部俊樹は逃げを打って「必要悪」と言っていましたが、「アメリカが公表した内容で、任期中に関わったこと位は正直に言えや」と思いました。

「官僚は勇気を持ってヌエが住む永田町の有様を話してくれ」と思います。これは退官した人にも、現役の官僚にも望むことです。
Unknown (非国民通信管理人)
2010-03-13 13:55:14
>ヒイロさん

 むしろアメリカに先んじて公開するぐらいでも良いくらいです。西山事件でもわかるように、公開に先立って内容は(知る意思のある人には)知れていたのですから。小沢一郎は官僚に対して「(民主党の方針に背くことは)辞めてから言うべきだ」と迫りましたが、現役である内に自ら情報公開して欲しいところです。

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