岡山県、同玉野市、香川県、高松市の4自治体と国でつくる「宇野高松間地域交通連絡協議会」(座長=江国実・四国運輸局次長)の第3回会合が30日、高松市内であった。前回実施を合意した社会実験の前段階として需要などを調査することは一致。しかし、財源を巡る溝は埋まらなかった。【三上健太郎、馬渕晶子、椋田佳代】
四国運輸局によると、社会実験の財源で、自治体側が出した、国の高速道路無料化社会実験計画の予算を活用する案を、同局は「できない」と回答。国が経費の半額を補助する「地域公共交通活性化・再生総合事業」を再び提案した。この事業主体となる地域協議会を連絡協議会の下部組織に設置、国が主体的にかかわる枠組みを示した。だが社会実験に最大でも半額しか補助が出ないため、自治体側は持ち帰って検討する。
また、四国フェリー、国道フェリーの両社は08、09年度の収支と10年度の収支見込みを報告した。いずれも09年度は3億円強の赤字。10年度は四国フェリーが約1億5000万円、国道フェリーは2億円弱と経営合理化で改善するが、依然赤字の見込みだと説明した。自治体から「安定的運航のためフェリー会社を1社にしては」との意見もあったという。
香川県の天雲俊夫政策部長は、国が地域協議会に主体的にかかわるとしたことを「踏み込んだ姿勢」と評価した。一方、岡山県の福田伸子生活環境部長は「自治体側の提案へのゼロ回答は遺憾」と批判した。
大西秀人高松市長は30日の定例会見で、宇高航路で実施を検討している社会実験について、地元の2県2市で、国の高速道路無料化社会実験計画の予算を活用するよう求めてきたが「なぜ宇高航路だけという理屈づけが難しいのは理解している」と述べ、国から地方の負担を求める具体的な提案があった場合「真剣に検討したい」と話した。【中村好見】
毎日新聞 2010年3月31日 地方版