「死は人間卒業、自殺は人間廃業です」
             淀川長治


淀川長治さんは映画解説家として日本の先駆けでした。
日曜洋画劇場はそれほど娯楽のなかった時代の貴重な楽しみでした。
ヨドチョーさんの解説を聴いておりますと一つの映画を何度も何度も観ているのです。
その上で、細かな点まで解説してくれるわけですから、映画もさることながら、
ヨドチョーさんの解説を聴きたいと最後までチャンネルを変えずに観ていたものです。

沢山の映画を観ていたヨドチョーさんですが、ご自分では気が付かなかったと思いますが
実は人間研究家にもなっておられたのです。

特に感性の磨ぎ澄まれた人間へは殊のほか周波数を合わせていたようです。

「死は人間卒業、自殺は人間廃業です」
という言葉は実に納得のゆく言葉ですが、これを考える感性が素晴らしいのです。
人間は死んでも終わりではないとするのが、宗教家です。
しかし、それに異論を唱える人は沢山おります。
克舟は死んだ後の世界は必ずある、とする派です。
お通夜や葬式に行って挨拶する時に
「ご冥福をお祈りします」と言いますが、
それは「冥土の世界でも幸福になるように」との意味です。
冥土とは、死後の世界です。

九死に一生を得た人の話しを聴きますと、もの凄く美しい花畑があったとか、
三途の川を渡りそうになったけど、渡らないで戻ってきたとか、
三途の川の向こうに亡くなった親がいて呼んでいたとか、帰れ帰れと叫ばれたとか
あの世の世界を教えてもらいました。
また、ある宗派で荒行をやっていると死の直前まで行くそうですが、
彼らに言わせれば死後の世界はあると言っております。
話しは横道にそれましたが、病でも事故であっても、または大往生であっても
自ら命を絶たない死であれば、それは人間として立派な卒業で、
自ら命を絶つようなことをするのは人間であることがイヤだから、
人間廃業とヨドチョーさんは言われたのだと思います。

いずれにしても、天寿を全うする生き方をしたいものですね。