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【政治】

『小沢氏辞任だけで済まぬ』 首相退陣論ちらほら

2010年4月4日 朝刊

 鳩山内閣の支持率低迷や政策決定の迷走ぶりを受け、民主党内で鳩山由紀夫首相(党代表)の退陣論が密(ひそ)かにささやかれ始めた。これまでは小沢一郎幹事長と距離を置く勢力を中心に、夏の参院選前に小沢氏は辞任すべきだが、首相には続投してもらいたいという「分離論」が大勢だった。微妙に風向きが変わってきたようだ。 (高山晶一)

 首相も小沢氏も「政治とカネ」問題を抱えているが、党内ではどちらかというと、小沢氏への不満の方が強く、首相には同情的な空気があった。反小沢系議員の間には、首相まで替えると「ポスト鳩山」選びで党内対立を誘発し、結果的に「小沢院政」につながりかねないとの思惑も働いていた。

 ところが、ここにきて、そうした空気が変わってきた。首相自身の指導力に疑問符がつく場面が相次ぎ、もし小沢氏が辞めたとしても、鳩山首相のままでは、参院選は戦えないとの声が出始めた。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題では、首相は公言していた三月末までの政府案の取りまとめができず、政府案を一つの案に絞り込むのかどうかでも、閣内の連携不足をうかがわせる発言が相次いだ。

 郵政改革法案では、亀井静香郵政改革担当相が公表した法案の骨格をめぐって、一時は閣僚同士が対立。党側からは「首相官邸の手綱さばきの問題」(中堅)と、首相の指導力不足を指摘する声があがった。

 こうした状況に、ある党幹部は「小沢氏が降りれば局面が打開されると思っていたが、もうそういう段階じゃない。今は内閣の問題だ」と不満を隠さない。反小沢系の中堅議員は「発言がぶれる首相自身に問題がある。小沢幹事長を切れば済むことではない」と、もはや「小鳩体制」を総入れ替えするしかないと強調する。

 首相は小沢氏を含めて現在の執行部で参院選を戦う考えを明言し、今月後半からの事業仕分け第二弾などで政権浮揚を狙う。

 しかし、党内からは「それで支持率が上がるものでもない」との悲観論も。目立った成果を残せなければ、首相への風当たりはますます強まることになる。

 

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