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「壁」越えてつかんだ春、フリースクールの外国の子どもら全員が高校進学/横浜

2010年4月3日

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 サクラは、来日間もない外国の子どもたちにも祝福の花を咲かせた。言葉の壁だけでなく、制度のはざまで通うべき学校さえない「ニューカマー」のためのフリースクールが横浜に開校したのは昨秋のこと。その生徒16人全員がこの春、高校進学を果たした。支えとなったのは、県内の元教員らでつくる民間団体だった。

 ぎこちない日本語でも、高揚感は伝わった。

 「高校では、友達をたくさんつくりたい」

 壇上に中国やベトナム、ネパール出身の生徒のはにかんだ笑顔が広がった。3月下旬、外国にルーツを持つ子どもたちの交流イベント。フロアでは元中学校教員、高田文芳さん(61)が初めて送り出す卒業生の姿に目を細めていた。

 「たぶんかフリースクールよこはま」が開校したのは昨年9月。週3日、横浜市南区のみなみ市民活動センターを間借りし、15歳から17歳までの、ニューカマーの子どもたちが集まった。共同代表の高田さんが説明する。「義務教育を受けられるのは15歳まで。それを過ぎて来日した子どもは行く学校がない。日本語教室に入ったとしても教科の学習まではしてくれず、高校に進むためのプレスクールが必要だった」

 母体となったのは、元教員やボランティアらでつくる民間団体「多文化共生教育ネットワークかながわ」。多言語による高校進学ガイダンスなどの支援を行ってきたが、学齢超過の子どもをどう支えるかは長年の課題だった。「現役教員のころ、中国人生徒の受け入れを断らざるを得なかった。そのことがずっと心に引っ掛かっていた」と高田さん。フリースクールは制度のすき間を埋め、行政を先取りするものでもあった。

 昨夏に中国から来日、王磊さん(16)は定時制高校に合格した。「受験の仕組みさえ分からず、ここがなければ高校には行けなかった」。ベトナム出身、ドンバン・アンさん(17)は「先生の家に行ったり、海に遊びに行ったのが思い出。みんな一緒だから頑張れた」。困った人を助けたいと、通訳の仕事に就くのが夢だと笑った。

 もう一人の共同代表、元高校教員の井草まさ子さんは「日本社会との接点となる居場所をつくりたいという思いもあった」と振り返る。3月中旬に開かれたささやかな卒業式、高田さんの送る言葉は「高校で悩むことがあったら、いつでも遊びに来なさい」だったという。

 フリースクールでは現在2期生を募集している。4日午後2時から、みなみ市民活動センターで説明会を開く。問い合わせは井草さん電話090(9012)0033。 

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