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大阪・十三で「北朝鮮映画週間」

映画「ある女学生の日記」の一場面(c)カナリオ企画
映画「ある女学生の日記」の一場面(c)カナリオ企画

 大阪市淀川区十三本町の映画館「第七芸術劇場」で「北朝鮮映画週間」が3月19日まで開かれている。国交がない朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)でどんな映画が製作されているのかに興味があり、先日、映画館に足を運んだ。開幕直前の2月25日には大阪市内で「トーク&ウリ歌曲・映画音楽の調べ」があり、この国の映画状況を知ることができた。

 ■カンヌ出品作も

 日曜だったこともあり、劇場の客席は9割方は埋まっていた。もの珍しさもあってか、それほど宣伝していないのに多数の観客が詰めかけた。画質は十分ではないが、鑑賞には耐えるレベルだった。

 北朝鮮の映画と言えばイデオロギーや政治色が強いのではと敬遠されるかもしれない。しかし、怪獣ものなどの娯楽映画もあれば、恋愛ものもある。フランスのカンヌ国際映画祭に出品された「ある女学生の日記」(2007年、100分)は、この国の映画関係者が何年も作品を作らず、欧米の映画を研究して製作したという話題作。上演作品の中で最も見たいと思った作品だ。

 ストーリーは平凡な家庭の日常を描いている。工場の生産性を上げるために工員と同じ衣服で作業にあたる科学者の父は自宅を明けたまま、めったに帰宅しない。研究所の寮に住み込んで仕事に没頭している。家族を顧みない父への反発や寂しさを母や妹にぶつける主人公の女子学生。大学進学を前にした多感な時期に、泣いたり笑ったりしながら成長していく姿を主題にしている。

 映像を見る限り、人々の暮らしは1960年代の日本という感じだ。家族が団子のようになって寝ていたり、煙突が壊れて暖房が使えなかったりするし、父の職業の割には主人公の家は貧しい。しかし、この家族に関しては食事には困っていないし、病気になれば病院で必要な医療は受けている。

 映画はテレビでいつも見せられる軍事訓練以外の北朝鮮の人々の生の生活を見ることができる教材でもある。ほかに朝鮮で有名な説話をもとにした「春香伝」も面白かった。勧善懲悪のストーリーは日本の時代劇とも共通する。

 上映作品は3月15日(月)18時20分、花を売る乙女▽18日(木)17時55分、春香伝--など。「ある女学生の日記」は13日(土)18時35分より。映画館(06・6302・2073)は阪急十三駅西口から徒歩約3分。サンポートシティ6階。一般1500円、専門・大学生1300円、小学生700円、中・高・シニア1000円。

「朝鮮の映画史をひもとく」のテーマで語り合うパネリストの洪昌守氏(右端)ら=大阪市の「たかつガーデン」で
「朝鮮の映画史をひもとく」のテーマで語り合うパネリストの洪昌守氏(右端)ら=大阪市の「たかつガーデン」で

 ■元世界チャンプの洪昌守さんらトーク

 前夜祭では、前半のトークで映画プロデューサーの小林正夫さん▽映画の字幕翻訳者で朝鮮問題研究家の康熙奉(カン・ヒボン)さん▽プロボクシングの元WBC世界スーパーフライ級チャンピオンで映画「月尾島(ウォルミド)」のテーマソングでリングに上がっていた洪昌守(ホン・チャンス)さんが「朝鮮の映画史をひもとく」と題して語り合った。

 「ある女学生~」を配給した「カナリオ企画」代表の小林さんは「北朝鮮も著作権保護について定めたベルヌ条約を批准しており、国交がないからという理由で日本のテレビ局などが映像や音楽を許可なく流している現状は嘆かわしい」などと、発言した。後半は映画にちなんだ音楽の演奏と歌が披露された。【大阪メディア室、高村洋一】

2010年3月5日

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