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【格闘技】京太郎 涙の初防衛 伝説のアーツKO2010年4月4日 紙面から
◆K−1ワールドGP▽3日▽横浜アリーナ▽観衆1万153人 ヘビー級タイトルマッチが行われ、王者・京太郎(23)が生きる伝説・ピーター・アーツ(39)を2回1分56秒で沈めて、初防衛に成功した。これまで、影の薄いK−1のチャンピオンだったが、アーツを倒したことで、認知度が急上昇することは確実。一時代を築いた武蔵の引退セレモニーが行われたこの日、新・日本のエースが誕生した。 涙が止まらない。アーツを倒した京太郎が号泣した。リング下の家族から受け取った祖母・妃沙子さん(先月に72歳で死去)の遺影を抱き締めて、誰はばかることなく、オイオイ泣いた。 「先月(22日)、おばあちゃんが亡くなった。そのおばあちゃんのためにも勝ちたかった。勝てて良かったです!」 散々、泣いた後、退場の花道では、ケラケラ笑っていた。極度の緊張から解放されたのだろう。 人生を変えたい。家賃3万円のアパートに住む不遇のチャンプは切実にそう願い、リングに立った。相手は、過去3度のワールドGPを制したアーツ。プレッシャーも並大抵ではなかった。しかし、ゴングが鳴ると、アーツに何もさせなかった。1回、パンチの連打でダウン。そして、2回、カウンターの右フックでねじ伏せた。 強太郎レンジャー、狂太郎レンジャー、前田慶次郎。何度もリングネームを変えて、本名の京太郎にたどり着いた。でも、もう、迷うことはない。アーツを踏み台に、今度こそ、人生が変わるかもしれない。 (竹下陽二)
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