父
2010年 03月 21日
「お父ちゃん、漬物の王様って何なの?」
父はにっこりほほ笑んで答えた。
「ラッキョウだよ」
私には予想外の答えだった。子供の私にとって、ラッキョウは美味しいものではなかったし、私が思い描く漬物でもなかった。
「何で、ラッキョウが王様なの?」と聞くと、父は得意げに言った。
「ラッキョウが一番、値段が高いじゃろ」
私は、質問するときに自分なりの答えを持っていた。私が想定していた漬物の王様は「タクワン」だった。「どの家庭にもあり、多くの人々に支持されるタクワンこそ、王様にふさわしい」という認識があった。だから、父の言うラッキョウには、味の面でも、理論の面でも共感できなかった。
「多くの人々に支持されて」という考えは今も変わらない。ただし、大人になって思うのは、タクワンは王様というより庶民だったということである。王様は、タクワンの中にもいるし、ラッキョウの中にもいる。美味しい漬物は、全て王様になる素質がある。
ときどき、この父との対話を思い出す。写真は父が若かりし頃の写真である。
父は今、何をしているのだろうか。まだ休息しているのだろうか。
どこかの国のお題目に誘われて、生まれているかも知れませんネ。^^
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# by sokanomori | 2010-03-21 21:55 | ふるさと | Trackback | Comments(12)