Air [True heart to you.]
tuyu様の作品
[ 夜明け ]
2009.09.27 *Edit
まえがき
AEOEのお話です。
ダークと言うか暗いです、たぶん。
基本LASですが甘いのは書けなかった。
シンジメインの一人称で進行して行きます。
EVANGELIONのSS(FF)と言うかNOVEL(物語)を書き起こすのは初めてで
自殺行為だと判っては居るのですが…
稚拙な作品ですが(作品と呼べるか疑問)宜しくお願いします。
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夜明け
微かな、潮騒・・・
まどろみから覚め、目に入った空は紅く、遥か上空に紫の母の温もりを持つ獣が
その役目を終え大気の外へ、忌まわしき槍と供に消え行く処だった。
これは…
海が紅い、空も…
あ、綾波…?
今まで見ていたのは夢？
違うと思った、あれが何だったのかは解らない、だけど皆の意識や思いが
僕の意識の中に流れ込んで来た事は判っていた。外国の言葉、理解できない
思想や欲望、そして…
綾波とカヲル君と話した、そこが、心の壁が取り払われた、人の心が補完
され一つになった処だったんだ。でも…
そう、違うと思ったから傷つくのが怖いけど基の世界を望んだんだ。
そして、目が覚めた……
アスカ!? 無事だったの?
量産機との死闘の末、傷を負ってしまったアスカ。
助けることさえ出来なかった僕。あの時全てに怯えて死を渇望さえ
していたその結果がこれなんだ。怖かった。限界だった。
僕の頭の中に繰り返される、拒絶の言葉。
それは…… アスカの言葉… だった。
「…アスカ…」
怪我、手当てはしてあるようだった。
…脈を取ってみた、微かにある。
他に人は…辺りを見回してみた、何故誰もいないの？
アスカがこのままでは危ないかもしれない、僕に何が出来る？
救えるのか…どうして良いのか判らなかった、
これが、僕の望んだ世界なの？こんな世界じゃないんだ。
…死…
頭に浮かんだ言葉だった、エヴァに乗っている時にいつも
怖いと思っていた単語、なんだぁ、エヴァが無くても同じなんだ
アスカの傍で膝を付いたら、もう一度アスカの拒絶の言葉を思い起こした、
アスカとの生活の中で言われていた、言葉や態度も思い出してみる。
今、アスカを思うと涙が零れそうになる。
馬乗りになって…
「…気持ち悪い…」
…アスカが言葉を発した、
両手を首にかけ、…引き寄せた
…
…
片手をアスカの頭の後ろに当てそっとアスカを抱き寄せ、シンジの胸の辺りで
アスカの頭を抱きかかえて、気づいたであろうアスカにシンジは気持ちの中の
想う事を静かに伝えた…
「怖かったんだ、アスカに嫌われるのが。
誰でも良かったんじゃないんだ。判らなかったんだ
人を好きになる事がこんな気持ちになる事だと…
そしてそれは…きっと、出会った時に感じて居たんだと思う。
拒絶された今でもこの気持ちは換わらない…
もう、一人になりたくない、そればかり思って、自分の事ばかり
願って、でも、周りの人の気持ちが判らなくて、でもどうすれば
判るのかさえ、判らなくて…」
僕はあふれる涙と感情が押さえられなかった…
…その時アスカの右手が僕の背に回された。
これが愛しいという感情なのだろうとシンジは思った。
そして、抱きしめた…
シンジはアスカを抱き抱える様にして、この浜辺を後にした。
それは、生きる為に。
ここに居てはいけないと思う。誰かが必ず戻ってくる事を信じよう。
僕はそう思い、アスカを抱かかえるように町が在っただろうと思う辺
りを目指すことにした。不思議と前のように誰かに依存した考えが出
て来なかった。違う、アスカを守らなければ…その思いだけだと思っ
た。それは伝わらなくても構わないし、口にする事もない。
アスカは依然、喋る事がないが行動を供にしてくれる、無理をさせる
訳にはいかない。落ち着ける場所を探して、横にさせよう。
LifeLineの途絶えた現状での食料の確保も考えなきゃ。
浜から上がって山頂が吹き飛んだであろう山の麓に戦自の衛生班の車両
が残っていた、と言っても走行は不可能そうだが荷台には飲料水や戦闘
時の栄養補給用の缶詰とパックの食品がわずかに残っていた。
これなら、アスカを横にさせられる。ここで少し休んでこの後の事を
考えよう。恐る恐る、後部の扉を開け、アスカを抱かかえ中に入った。
衛生班の車両だけの事はあるな、応急処置に使える薬品も無事だ。
ガーゼやタオルケットもある。
横にさせたアスカの額の汗をガーゼでそっと拭い、声を掛けて見る。
「アスカ、少しここで休もう。ミネラルウォーター飲む？」
うなずく仕草を見て用意すると
「…自分で飲めるわ…痛っ…」
「大丈夫？無理しないで、開けてあげるよ」
アスカの背に腕を廻し抱き起こすと「ありがとう」と言ってくれた。
「シンジ…」
ミネラルウォーターを飲み少し落ち着いたのか、僕を呼んだ。
「うん、どう、落ち着いた？」
「…プラグスーツって、もう必要無いのよねぇ……服を探してきてほしい」
僕はその一言を聞いて無性にうれしくなってまた、アスカを抱きしめ
ながら何度も頷き、泣いてしまった。いつものアスカ。少し元気が、
無いけど、アスカの言葉。
「な、何よぉ、どうしたのよ!?」
「何でも無い…ただ、どうしようもなく嬉しかったんだ。直ぐに探して
くるよ、動きやすい方がいいよね、他に要る物はある？」
「あんたねぇ…ホント馬鹿ね。」
「うん、そうだね」
沈黙が流れる、ミネラルウォーターを一口飲んだアスカが口を開く。
「…シンジ、その前に聞いて欲しいの。
…あたしは、一人で生きていく為にと思って、常に一番を目指してた
それが何時しか、全てを自分の物にしたい、そんな欲望に代わってい
ったの。きっとあたしも、誰かを好きになる事がどんな事なのか、ど
んな気持ちになるのか解らなかったんだと思うの。エヴァの事にして
も、一番で無くなれば、あたしは必要とされなくなるんだって…」
「アスカ…」
「ファーストがシンジと仲良くしてると……そう、あの気持ちは嫉妬な
んだと…
シンクロ率が追い越された時の感情も…
ミサトやリツコ、加持さんもあたしを見てくれない、なんか全てを閉ざしち
ゃった…。」
僕はこの時思った。
僕達は同じだったんだ、似たことで苦しんでいたんだ。
そう思うと気がついてあげられなかった自分に腹立たしさを覚え、
自分の事ばかり言っていた所為でアスカを助けられなかった事を悔や
んだ。
更にアスカは…
「…あたしは…シンジにはあたしだけを見ていて欲しかったんだと気が
付いたの、さっきね。多分、あたしも出会った時から意識していたわ
それが恋だと解っても認められなかったの、プライドが邪魔して…
違うわね、素直になれなかった…」
僕はやさしく、慈しむようにアスカを抱き寄せた。僕の心臓の鼓動が
激しい。それは、この行動の為？アスカが愛しいから？
でも、今一つだけ解った事はこれが【好き】だと言う、恋愛の感情な
のだろうと。僕の気持ちだけを押し付け様としてた今まで、でも、そ
れは違うんだ。
受け入れて貰いたかったのに相手の気持ちを受け入れて無かったんだ。
「ねぇ、アスカ、皆がいつか戻ってくる、それでも僕の気持ちは換わら
ない、ずっと一緒にいよう。」
「大胆ねぇ、それってプロポーズ？」
「ち、違うよぉ…違うけど気持ちはさぁ…」
「ふふふ、相変わらずね、だからミサトにからかわれちゃうのよ。
あたしは、わがままよ、いいの？」
「いいよ。」
「お料理できません。」
「いいよ。」
「家事もうまくできないわ」
「いいよ、少しずつやろう。」
「ありがとう、シンジ…」
「…傷、痛む？包帯替えようか？」
「う〜んと、どうしよう…着替えてから考えましょ」
僕は痛々しいまでの包帯の巻かれた腕に目が止まったまま
「……」
「これは…シンジの所為じゃないわ、それに誰かの所為にしても、
どうなるもんでも無いでしょ。」
僕は思った、アスカは一生僕が守ろうと。
アスカが得る幸せは僕が守る。このままずっと一緒に居れればいい、
けれど、二人にはまだ時間が一杯ある、この先、どうなるかは解らな
い。最終的にアスカが僕を選んでくれるように成ればいい、そして、
僕が守る、そう想った。
「アスカ、着る物探してくる、少し休むといいよ。」
「ありがとう、シンジ」
「うん、行って来るね」
シンジはアスカの気持ちを知った。
アスカもまた、シンジの気持ちを知った。
二人の気持ちが空を分けた。
大気を超え天空の闇の中、紫の獣が己に刺さった紅い槍を抜き、星が
震えるほどの雄たけびを挙げた…
一度は朽ちた筈の獣は歓喜の雄たけびを挙げるように更に吼える。
手にしたその紅い槍を構えると紅くなってしまった星を目掛けて槍を放つ。
それは、光の矢となり一直線に、そして、LILITHの亡骸を貫き、全てのモノを
白い光で包み込む。尚も槍はまた大気を劈き、槍を放った紫の獣に向かう…
紫の獣は両手を広げる。槍に貫かれる寸前紫の獣の目に…
シンジ
大気が揺れるほどの衝撃と供にそこには何も残っていなかった。
だが、地上ではその瞬間もその後も爆発も衝撃波も振動すらなく白の時間が
過ぎた。それが終わりを告げる頃、紅い海では……
紅い空が…割れた…
心の中に何か呼ばれた気がした懐かしい、そして、暖かいそんな感じがした。
それが何なのか僕にはわからなかった…
僕はアスカの元に跳んで戻った、無事を確認したかったんだ。
お互いに無事を確認すると、アスカに異変が。
「ねぇ、傷が…」
「痛むの!?」
「その逆、さっきまで、あんなに痛かったのに…」
恐る恐る包帯を解いていくと傷が消えている。
先の白の時間は何だったのだろうか。
二人は顔を見合わせると、お互い頷き合い、紅い海を目指した。
そして、その光景を見た瞬間……二人はどちらともなく手を握っていた。
そこにはLILTHであったものは無くなり浜辺には人が。
人々が戻り始めた。
「皆戻ってくるね、アスカ」
「戻ってくるね、シンジ」
僕はあの海の中でいろんな人の心の声を聞いてしまった…
でも、正直なところ、解らない事の方が多かった。
ひとつだけ解ったのは…皆、なんらかの痛みや苦悩を心に持っていた事。
そして、今大切だと思う人が傍に居ること･･･
こうして世界中で復興作業が始まって行く。
ネルフ本部職員達も戻り本部の再建が決まり、非公式の組織から、
平和維持活動組織に編成し直されその長にゲンドウがおさまる。
政治的な駆け引きがあるであろう組織ゆえ適任は彼以外にはいない。
ファーストレディはリツコだった。ゲンドウはユイへの想いを思い出に代え
出直しする、その伴侶はやはりリツコしか居ないであろう。
ゲンドウはこのインパクトの悪行はSEELEの計画で日本国政府、戦略自衛隊、
の関与をマスコミに暴露し内政的に弱くなった日本の政界に冬月を送り出し
ネルフに対する批難をかわす、同時に戦略自衛隊の解体、防衛庁トップに
葛城ミサトを置くように政府に対して圧力を掛けた。
SEELEの生還者は皆無でSEELEの保有資産は被害の大きかった日本に、取り分け
第３新東京市を中心とした都市に当てられたがそれでも、あまる資産は世界に
振り分けられた。
混沌と進む復興の中、本部ゲンドウの執務室では、シンジとゲンドウのインパ
クト後、初の対面があった。
以前の司令室はもうない。必要がないのである。明るく機能的な部屋になった
事を驚いているシンジ。
「済まなかったな、シンジ」
「…父さん、それはあの時聞いたし、僕も好きな人に会いたかったら…」
「そうか…
好きな子は居るのか？」
「う、う〜ん、好きって言う気持ちが在るのを知ったのがインパクトの最中な
んだ、だから大切にしたい、そう思う気持ちは本当なんだ。」
「そうか…」
「……」
「シンジ」
「はい」
「私は…父親として何もしてやれなかった
どう接して良いのかも判らなかった、ユイに任せっきりでユイが居なくなっ
たら…」
「淋しい、いつもそう思ってた。でも、エヴァに載る事で父さんと再会できた
友達も出来た、ミサトさんって言う家族も出来て、アスカを好きになった。
悪い事ばかりじゃなかったよ、父さん。」
「そうか…」
「うん」
「惣流さんところのアスカが好きなのか。よかったなシンジ」
僕はこの時しまったと思った。でも父さんと、こんなに話が出来るとは思って
なかった。
この後いろいろと話をした。今後のこと、将来のことも含めて、そして……
リツコさんが母になる事についても。
学校が再開されるにはまだ時間が掛かるみたいで、その間、アスカと一緒に、
本部に来て手伝える事をする事にした。以前のように厳重な警備もセキュウリ
ティもなく、代わっていく様をみているとあの災厄はよかったのかもしれない
と、思うのは不謹慎だろうか。僕には大人の事情は判らない、でも、少しづつ
見えてくる明日(未来)はきっと明るいのだろうなと、僕は思っている。
fin
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あとがき
最後までお読み下さりありがとうございました。
初作品と言うことも在り自分成りにPlotを立て書いたつもりですが
読み返せば読み返すだけ変な仕上がりになってしまった気がします。
ゲンドウを蘇らせたのは自分の中では父としての役目を果たさせたかった。
それだけです。
tomato.kajiさま、この機会を下さりありがとう御座いました tuyu
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tomato.kajiです。
いや〜ありがとう御座いますはこちらから言わせて下さい。
このまま投稿なく閉鎖しようかと想ってました。f^^;
等身大の14歳な感じで良かったですよ。終わり方は
もっといろんな作品を見て参考にした方がいいかも…
次の作品も期待してますよ。
感想はコメント欄に入れてあげてくださいね。
初作品なのでタイトルのFLASHでもプレゼントしましょう。
数日後には仕上げて起きます。
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Comment
ありがとうございます
お読み下さり有難うございます！
そして、新藤さんってCriminalSnowの新藤さんですよね!?すみません、ありがとうございます。感激です。>好きだからこそ…
伝えたかった事がそこなのです。ご理解頂けて、嬉しいです。
Airをもう１度やり直しさせたかった、けれども自分なりの答えも出させたかった、そんな思いで書きました。
でも、最初のコメントを新藤さんに戴けるなんて光栄です。いつも読ませて頂いてます。
ありがとうございました。次は期待しないで下さい(笑)
そして、新藤さんってCriminalSnowの新藤さんですよね!?すみません、ありがとうございます。感激です。>好きだからこそ…
伝えたかった事がそこなのです。ご理解頂けて、嬉しいです。
Airをもう１度やり直しさせたかった、けれども自分なりの答えも出させたかった、そんな思いで書きました。
でも、最初のコメントを新藤さんに戴けるなんて光栄です。いつも読ませて頂いてます。
ありがとうございました。次は期待しないで下さい(笑)
遅ればせながら、読ませていただきました。
新藤さんがおっしゃるように、シンジとアスカの間にも世界にも訪れた夜明けを感じさせてくれました。雨降って地固まる、ですね。
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ゲンドウとも分かりあえたようですし、世界と共にシンジたちにも夜明けが来て良かったと思います。
初めてとは思えないほど、良く書けてたと思います。これからも新たな作品に期待してます。