[　２６５番台のネルフスタッフたち　]

2009.11.08 *Edit

　※この短編は、ＣＲ「エヴァンゲリオン　使徒再び」を元に作ったＳＳなので、パチンコされない方には全く意味がわからないと思いますがご了承ください。

　僕の名前は碇シンジ。
　１４歳の中学生だけど、僕には大事な使命がある。
　それは・・・

　「シンジ君！出撃よ！」

　「ＡＴフィールド、全開！」
　（来たぁ！激アツセリフ！）

　カッキーン！

　（・・・）
　ドン！

　いたた・・・はずすと必ず衝撃が来るんだよなあ・・・。
　「シンジ、アンタもダメだったのね・・・」
　隣ではアスカがフラフラしながら、水の入ったコップを一気にあおった。
　「もう！なんであたしだけ悲鳴も上げなくちゃいかないのよ～」
　アスカは今日一日ずっと叫びっぱなしなのだ。
　「しかも、最後の方はあたしが出た瞬間衝撃が来るようになったわ・・・」
　「私もよ・・・」
　少し離れた場所では、綾波がぐったりとしながら椅子にへたり込んでいる。
　「赤木博士と葛城一尉は、出るたび衝撃が来るって言ってたわ・・・」
　そのミサトさんとリツコさんは、発令所で腰にサロ●パスを貼ってもらっている。
　「やあ、お疲れ様」
　カヲル君だった。隣にはペンペンもいる。
　「フィフス。何か用？」
　綾波が少し眉をしかめながら言った。
　「用ってほどでもないんだけど」
　「じゃあこっち来ないでよ。あんたの顔見てるとイライラすんのよ」
　アスカもきつい。アスカと綾波は、カヲル君が気に入らないらしい。
　「・・・ひどいね、この二人は。僕はさっきダメージを受けたシンジ君の心配をして来たんだよ。僕の親友のシンジ君のね」
　「え・・・」
　一瞬しまった、と思った。だって、僕はとっさに嫌な顔をしてしまったから・・・。
　「シ、シンジ君。ぼ、僕達親友だろ！？そうだよね！？」
　間の悪いことに、カヲル君も僕が嫌な顔をしたことに気付いたらしい。
　「あー・・・そうなんだけど・・・」
　「あんたねぇ。あんだけ贔屓されて、まるであんたの引き立て役みたいになってるあたし達の前に、よくもまあ顔を出せたもんね。それとも、無敵の渚カヲル様は、あたしたちを哀れんでくださってるのかしら？」
　アスカのイヤミが炸裂してる・・・。でも・・・ごめん、僕も今気分はそんな感じだ。だって、はずしたら衝撃が来るし、当てたら当てたで「確変ストッパー！」って罵声が飛んでくるんだもんなあ。
　それに引きかえ、カヲル君は登場すれば、その瞬間歓声が沸く。
　「私は『はずれ要員』って呼ばれたわ・・・」
　綾波が横でぼそりと呟いた。そういえば、風当たりが一番強いのは綾波だ。今回主役なのにね。
　「そんな・・・でも、君達は確変図柄じゃないか！僕なんか、所詮は単発図柄。この前なんか、脂ぎったハゲのおっさんに、言いたくもないのに『大好きだよ』って無理矢理言わされたら、『俺は嫌いだ！』って、野太い声が返ってきたんだ！この悔しさが君達にわかるかい！？」
　「うっ・・・」
　考えたら、カヲル君だってひどい目にあってるんだ。
　「わ・・・わかったわよ・・・」
　涙目で睨みつけるカヲル君に、アスカが折れた。
　「そうだよね。カヲル君だって苦労してるんだ。ゴメン、カヲル君。僕達、今日はいいとこなしだったから少しイライラしてたんだ」
　「・・・ごめんなさい」
　僕と綾波も素直に頭を下げたので、ようやくカヲル君も落ち着いたのか、小さくため息をついた。
　「それにしても・・・」
　「明日はみんなが笑顔だといいね・・・」
　その時、遠くから静かなメロディが聞こえて来た。
　「これ、何て曲？」
　「蛍の光・・・」

２６５番台のネルフスタッフたち

　「みんな聞いて。ＭＡＧＩによると、今日は大爆発を起こすらしいわ」
　時間は午前９時５５分。
　チルドレン全員にミサトさん、父さんと副司令、そしてペンペン。オペレーターのみんなと・・・知らないおじいさんたち、何か変な眼鏡かけてる人達の前で、リツコさんが高らかに言った。
　「大爆発！どういうこと！？」
　ミサトさんがすぐさま手を挙げる。
　「ＭＡＧＩによりと、ここ一週間、ルフランどころか確変すら来なかったのは、全て今日のためということです・・・」
　リツコさんはそう言って、マヤさんに頷いて見せた。
　「本日、３０を越える確率、９７．５％。４０を越える確率は７８．８％と出ています」
　「今日は荒れるわね・・・」
　ミサトさんが不敵に微笑んだ。
　その時、遠くから昨夜の「蛍の光」とは大きく違う、勇ましい曲が流れてきた。
　「始まったか・・・」
　「ああ・・・」
　上の方から、父さんと副司令の声が聞こえて来た。

　「あ。この人知ってる」
　マヤさんからもらったデータには、とある人物の顔が映し出されてた。
　「え？誰よ、こいつ？」
　「昨日の人・・・。夜の６時くらいだったかしら？『１０００もハマッた台！？やるしかない！』と勇んで座ってたわ・・・」
　「昨日ってさ・・・」
　「ええ・・・一回も完全決着しなかった日・・・」
　・・・リベンジかぁ・・・。根性あるなぁ。
　「でも今日は来て正解よね！リツコの話じゃ近年稀にみる大当たりじゃないらしいの」
　アスカが幾分嬉しそうに胸をそらした。
　「調子のいい日って、あたし、よく確変を選べるのよね～」
　「いいわね・・・」
　綾波は、僕以上に「確変ストッパー」と呼ばれているんだ・・・。
　『レイ！出撃よ！』
　ミサトさんの声がかかった。
　「はい・・・」
　『零号機は青。セリフは１番で、マステマはなし。最初の段階ではずすわ』
　「・・・了解・・・」
　綾波が大きくため息をついた。
　「優等生・・・顔色悪いわね・・・」
　「昨夜、この人にさんざん『役立たず』呼ばわりされたからね。でも、今回は予告がリツコさんで図柄が動いただけなら、文句も言われないと思うよ」
　言いながら、自分でも変な慰めだなと、その時の僕は思った。

　「ただいま」
　１分後、綾波は何事もなかったかのように帰ってきた。
　『パターン金！リラックスです！』
　マヤさんのアナウンスが告げられる。僕達に声がかからないってことは・・・。
　「リツコかミサト。はずれパターンね・・・」
　アスカが意地悪く言った。
　『副司令！セリフ一番お願いします！』
　『・・・やれやれ・・・一番かね・・・』
　モニターには、嫌そうな顔で腰を上げる副司令が映っている。
　『こ、今度は何だ？』
　ドン！
　副司令が椅子から転げ落ちた。
　『シンジ君！シンクロして！』
　今度は僕の出番だ。
　「あ、はい。ミサトさん・・・ロンギヌスの槍は・・・」
　『ないわ！』
　「そうですか・・・ゲ、ゲージは・・・」
　『一番下よ！』
　「ってことは・・・」
　『当然はずれで暴走はナシ。いつも通りでお願いね』
　うわ・・・。
　僕もまた転ばされるのか・・・。
　「まだいいじゃない。あたしなんか、出てきた瞬間ドン！が来るわよ」
　珍しく、アスカが慰めの言葉をかけてくれた。

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　『先輩！ＭＡＧＩから、新たな情報です！』
　『マヤ。解析して』
　『これは・・・プレミアです！エヴァ温泉、男湯と出ています！』
　発令所、ケージから拍手が起こった。
　「すごい！シンジ君聞いたかい？」
　「すごいやカヲル君！格納庫だよ！」
　そう、エヴァ温泉とは、プレミアの格納庫のことなんだ。そして、男湯は初号機！
　「うおおおおん！」
　初号機が嬉しそうに吼えた。これは、大当たりの合図なんだ。
　『シンジ君！アスカ！レイ！準備して！１４の使徒が来るわよ！』
　ミサトさんの声も、とても明るい。
　発令所も活気付いてる、なにしろ、１４の使徒が来ると、発令所も映るからだ。
　『はあ～あ、マヤちゃんはいいよなあ。僕なんか、セリフはないもんなあ』
　日向さんが寂しそうに言ってる。
　『マコト。お前はまだいいよ。『勝利』の時に、顔が映ってるからな』
　青葉さんの声は、もっと寂しげだ。
　『でも顔は半分なんだ・・・』
　『そうか・・・それもつらいかもな・・・』
　・・・二人の気持ちが、僕にもよくわかる。
　アスカはカヲル君のことを「いいとこどりして！」って怒るけど、アスカも綾波も、そしてミサトさんも、僕の出番をどんどんとってるんだよね・・・。
　大体ラミエルを倒すのは僕のはずなのに・・・。
　イスラフェルにアスカとユニゾンアタックするのも僕なのに・・・。
　確変は女の子に譲るにしても、チャンスタイムの時は僕の笑顔でいいじゃないか。何が不服なのさ。
　「よーし！時短に期待だ！」と思えるよう、あんなにいい笑顔を向けていたのに・・・。あんなミサトさんの愛想笑いがそんなにいいっていうんだろうか・・・。
　それとも、今度は僕が主役・・・？いや、きっと主役はカヲル君かミサトさん、下手したらマヤさんだよね・・・。
　僕が一人でいじけていると、ミサトさんから嬉しい知らせが。
　『シンジ君！今回スクリームを仕留めるのはあなたよ！』
　やったあ！久しぶりに主役っぽい！

　主役っぽくマゴロクソードでスクリームを撃退したら、今度は羽根を広げて昇格。
　ふふ、今日の僕は大活躍だ！
　「シンジィ。ニヤニヤしてるけど、ミサトから伝達よ～」
　意地の悪い声で、アスカが僕の隣に座った。
　「え？何だよ、伝達って・・・」
　「今保留玉が入ったでしょ。あれ、当たりだって。あんたの予告が一回だけ出て、単発で当たるってさ」
　「嘘だ！」
　『シンジ君、この曲が終わったら、すぐ出番よ！』
　ミサトさんだ・・・。アスカはニヤニヤしてる。
　逃げちゃダメだ・・・。逃げないから、もう一回言わせてくれないかな・・・。もう一回でも言えたら、確変なのに・・・。
　「碇君落ち着いて。今日は稀にみる大当たりの日よ。確変が終わっても、まだチャンスはあるわ」
　綾波が僕を慰めてくれた。
　「・・・綾波、覚醒してよ・・・」
　「・・・やれるだけやるわ」
　・・・ダメじゃん・・。

　うう・・・早くも「確変ストッパー」と呼ばれた僕は、すごすごと戻ってきた。僕の様子に、最初はからかっていたアスカも、少し同情するような視線を送ってきた。
　「しっかりしなさいよ。リツコを見てみなさいよ、今日も胃薬飲んでるわよ」
　アスカが指差す先には・・・リツコさんが胃薬を飲んでいる姿があった。
　考えたら、リツコさんって、一番出番が多いんだよね。しかも、一番弱い予告で・・・。僕達と違って、揃えば嫌な顔されるし・・・。
　「おかげで『ホクロ女』とか、『ばあさん』とか、ひどいアダナばっかりつけられてるんですって」
　「『ばあさん』っていうのはアンタでしょうが」
　「知らない。私、二人目だから」
　アスカのツッコミに、綾波が不機嫌そうにそっぽを向いた。あのセリフで、何人ものおばさんから「失礼な子ね！」と怒鳴りつけられてるからな・・・。
　でもまあ、入店してすぐ確変引いたから機嫌もいいだろうし、2箱あれば、きっとそれを減らしてる間に入るよね。

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　・・・と思ったら甘かった・・・。
　「シンジ・・・。ヒマね・・・」
　「ヒマだね・・・」
　カヲル君なんか隅の方で寝てる。
　『レイ！準備して！セリフは1番でマステマはないわ！いつも通りよ』
　「・・・了解・・・」
　今みたいに、綾波がたまに呼び出されるくらいで僕とアスカは何もすることがない。
　「ねえシンジ。本当に今日は大爆発が来るのかな・・・」
　アスカが心配そうに言った。
　「リツコさんはそう言ってたよ」
　でも・・・もう既に1箱半呑まれてるみたいだ・・・。
　『司令！チャンスボタンです。セリフは２番でお願いします』
　『ああ・・・』
　今度は父さんか。２番・・・父さんも大変だなあ・・・。
　『何故だ！？』
　（こっちが聞きたいよ！）

　ドン！

　父さんが転げ落ちた。暇でも、あれは嫌だな。しかも、モニターの向こうから何か聞こえた・・・。
　「ただいま・・・」
　綾波が帰ってきた。心なしか、疲れているようだ。
　「さっきモニターから見たけど、もう上皿にしか玉は残っていなかったわ・・・」
　「回らないのかしらね」
　『増援です！ヒデヨに代わり、ユキチが投入されています！』
　マヤさんの声が聞こえて来た。
　ユキチかあ・・・。この人、今日は粘る気だな・・・。
　『！？まさか！緊急事態発生！パターン赤！確変です！』
　『まさか！ステップアップは私止まりのはずよ！ありえないわ！』
　リツコさん・・・。自分の予告を端から信じていないんだな・・・。
　『ですが、確かにパターンは赤と・・・』
　その時だった。

　キュイーンピピーン！キュイーンピピーン！

　「「フ・・・フラッシュだ！」」
　僕とアスカが同時に叫んだ。
　『エヴァ弐号機、発進！』
　「待ってました！」
　アスカが嬉しそうに飛び上がった。そういえば、今日はアスカが出撃するのはこれが初めてだ。
　「やったあ！確変リーチよ！見てらっしゃい、今日こそ『どんだけ～』って言ってやるわよ！」
　アスカはスキップしながら弐号機に乗り込んでいる。・・・少し羨ましいな・・・。
　そう思ってたら。

　バリッ！

　初号機・・・暴走したんだ・・・。
　「・・・」
　アスカが僕を恨めしそうに睨みながら帰ってきた。気の毒だと思うけど、僕だって知らなかったんだよ・・・。

　アスカは怒っていたけど、アスカの活躍はこれからだった。
　『パターン金！リラックスです！』
　『アスカ！ロングでお願い！』
　「待ってました！」
　素早く着替えたアスカがいそいそと発令所に出かけていった。
　『あんたバカぁ～？・・・本当にバカね』
　その瞬間、下段に加持さん図柄が・・・。

　ドン！

　「きゃあああ！」
　アスカがひっくり返った。
　「失礼ね！確変中のあたしのロングは確変確定なのよ！そんなことも知らないなんて、本当にバカね！」
　たんこぶができたのか、頭をさすりながらアスカがモニターに向かって怒鳴った。
　『アスカ、単機出撃よ、早くして！』
　『わかってるわよ！』
　涙目でアスカが弐号機に乗り込む。
　「フィフス、邪魔しないでよ」
　「その予定はないよ」
　カヲル君があくびをしながら言った。カヲル君も、暇な時は一日寝ててもいいもんね。
　モニターには、必死で頑張る弐号機が映し出されてる。
　『どっりゃあ～！』
　アスカは雄たけびを上げながら、加持さんの図柄を持ち上げて嬉しそうに「完全決着！」とポーズを決めている。あの瞬間、本当に気持ちいいんだよね。
　「さて、じゃあ昇格演出を・・・」
　と僕が初号機に乗り込んだ時だった。
　「お先に！」
　弐号機が初号機を押しのけ、羽根を広げちゃった。
　いった～・・・。でも、アスカ嬉しそうだな。

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　『レイ！次は次回予告からレイの出番よ！』
　「了解」
　綾波の紅い目がらんらんと輝きだした。
　「よかったね、綾波」
　僕が言うと、綾波は嬉しそうにこくんと頷いた。
　そう、確変中の次回予告は当たれば確変確定なのだ。・・・はずれる時もあるけどね・・・。
　『レイ！ドラミの使用許可が下りたわ！ドラミケージに急いで！』
　「はい」
　あ、今回はドラミなんだ。
　ドラミってのは、プロトタイプ零号機のアダナなんだ。山吹色・・・というか、モニターの向こうの人には金色に見えるらしく、大当たり確定のエヴァなんだ。実は初号機も二体あったりするんだけど、こっちは少し見つけにくい。
　『次回、涙』
　図柄は副司令だ。

　ドン！

　「うっ！」
　綾波がうめいた。ひどいや、綾波は確変を連れてきているのに！
　でも綾波はめげず、ライフルをアルミサエルに向けている。
　「これで終わりよ！」
　完全決着。そして昇格・・・。
　・・・今度は零号機に乗っ取られちゃった。でもまあ、綾波もアスカも喜んだし、何よりモニターの向こうの人が喜んでいるからいいか。
　「あ、久々に聴くね、この曲も」
　「ほーんと」
　綾波が帰って来る頃、いつもとは違う歌が流れてきた。モニターの向こうの人は気分がいいのか、ふんふんと聴き入っている。
　『シンジ君。パターン金が出たわ！今度はシンジ君よ。リラックスでお願い！』
　「やったあ！」
　僕は飛び上がった。
　『確率変動突入。やったわ、さすがね』
　綾波の眩しい笑顔の後、僕の出番はすぐだった。
　「父さん、僕を初号機に乗せてください！僕はエヴァンゲリオン初号機のパイロット、碇シンジです！」
　このセリフ言うのも本当に久しぶりだよ！最近僕が口を開くのって少なかったもんなあ。せいぜいが「頑張ってみるよ」で「頑張ってないじゃないか！」とツッコまれたり、「何で戦うんだろう」と呟いては「戦ってないだろう！」と怒られたり・・・。
　こんなにも長いセリフが言えるなんて！
　さあ、出撃だ！初号機と僕とで完全決着だ！アスカたちみたいに「ドン！」ってされたけど、もう確変確定なんだ！後で思い切り僕に感謝するといいよ！
　・・・のはずだったのに。
　「あれ・・・？」
　着いた先は紅い世界。日が沈みかけ、遠くでは・・・。
　「ト、トウジ！」
　そう、そこにはエヴァ参号機の姿が！
　「これは、エヴァじゃないか！」
　「そうだ、目標だ！」
　父さんってば、久々のカッコイイ出番が嬉しいみたいだ。
　そして・・・。
　「カヲル君！」
　『お待たせ、シンジ君、さあ、行こうか』
　そこには銀色に輝く四号機！待ってないよ！放っておいても僕の力で確変ゲットできるはずだったんだ！
　確変中の僕のロングだけで十分確変だったんだよ！
　さっきの予告が確変確定とは知らないくせに、カヲル君が出たら確変ってことは知ってるのか、モニターの向こうの人は喜んで手を叩いている。
　「ありがとう、カヲル君」とまで言っちゃってる！違うよ！僕の力なんだよ！
　『決める！ＡＴフィールド全開！』
　カヲル君は久しぶりの活躍が嬉しいのか、さくっとトウジの入ってる参号機を倒しちゃった。
　「いたたた・・・渚、もうちっと手加減してくれや」
　トウジ・・・出番はこれと新生の時の単発図柄なんだよね。・・・もしかしたら、一番気の毒かもしれない・・・。

　その後も順調に確変が続いていった。
　モニターの向こうの人もニコニコ笑顔だ。逆に、隣はどうも不調が続いているみたい・・・。あ、でも新生モードが来た。
　「新生モードだ、よかったね」
　『隣？でもあれは・・ＭＡＧＩによれば８７．９％の確率で次回は単発と出てるわ』
　リツコさんが事も無げに言った。
　「へえ。気の毒だね・・・」
　僕は、身を乗り出して、僕達の台の隣を見た。あ、トウジと委員長が揃ってる。
　「うわ、何かブツブツ言ってるよ・・・」
　・・・なになに？アンチトウジとアンチヒカリ書いてやる・・・？
　な、何かすごい人みたいだ。
　トウジ・・・委員長・・・何も悪いことしてないのに・・・。
　大丈夫かな？隣の人、舌打ちもしてるけど・・・。
　その時、警報が！
　『！大変です！おめでとう全回転が来ます！』
　『総員、第一種戦闘配置！』
　「シンジ！早く！」
　アスカが僕の手を引っ張った。
　「大変だ！」
　僕も慌てて走り出す。
　さあ、今日は大忙しだ！

　モニターの向こうの人のために、いや、全てのパチンコファンに、歓喜の歌を！

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　リクがパチンコの裏舞台（？）的なお話ってことで。
　ちなみにほとんど実話です。隣が私（涙）。隣のおっちゃんが、ゆうべ２０００ハマってさ～と教えてく　れたのでちょっと採用。
　でも台を叩いちゃダメです。絶対にやめましょう。

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SORITAさんから２作品目のＵｐです。
この作品はＳＯＲＩＴＡさんのサイトでも読めるのですが、「こちらでも…」と言う事で
ご本人様から頂きました。ありがたやありがたや。
こちらでも是非感想をコメント欄に入れてあげて下さい。
もちろん拍手でも大歓迎ですよ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　tomato

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