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【プロ野球】巨人木村拓コーチ 試合前倒れる くも膜下出血で重体2010年4月3日 紙面から
巨人の木村拓也内野守備走塁コーチが2日の広島戦の開始前の午後5時35分ごろ、自身がシートノックのバットを振っていた本塁付近で突然倒れ、意識不明のまま駆けつけた救急隊員によって広島市内の病院へ搬送された。病院の診察ではくも膜下出血と診断され、入院。依然意識不明の重体とみられる。同コーチは1991年にドラフト外で捕手として日本ハムに入団。その後広島を経て2006年途中に巨人へ移籍し、昨季限りで現役を引退。今季から1軍コーチに就いていた。 球場全体が騒然となった。野手にノックを打とうとしていた木村拓コーチが本塁付近で突然よろめいた。右ひざを折って、そのまま前のめりになるように倒れ込んだ。異変を察知した選手やコーチが一斉に三塁ベンチから飛び出し、同コーチを何重にも取り囲んだ。古巣である広島のスタッフも直後に駆けつけた。グラウンド上では人工呼吸と心臓マッサージが施され、心肺停止状態に陥っていたとみられる。約10分後、同コーチは駆けつけた救急隊員によって広島市内の病院に運ばれた。 午後7時50分ごろ、巨人の広報部は木村コーチの容体について「診察の結果、くも膜下出血と診断され、そのまま入院した」と発表。担当者は「これ以上申し上げられることはない」と話し、詳細な説明はなかった。 選手は衝撃的な事態に一致団結した。木村コーチがグラウンドを離れた後、ベンチ裏へ。選手、コーチら全員が手をつなぎ合って、病魔と闘う同コーチに思いを届けた。原監督は「祈るしかない。その手が解けた瞬間、試合に集中しようと言った」。即席の儀式で懸命に気持ちを切り替えた。試合では序盤に4点リードを許しながらも粘って応戦。7回、ラミレスのこの日2本目の3号ソロで逆転勝ちを収めた。 今季初の2連勝にも、試合後は重苦しい空気が漂っていた。主将の阿部は沈痛な面持ちで「言葉は出ないし、悲しい。あきらめないで、また帰ってくることを想像して待っていたい」と絞り出した。4連覇を目指すチームに襲いかかった突然の悲劇。今できることは、目の前の試合に勝利すること以外、何もない。 (永山陽平)
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