中日−阪神 チームを勝利に導く逆転打を放ち、お立ち台でファンの声援にこたえる森野(右)=ナゴヤドームで(榎戸直紀撮影)
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神宮からナゴヤドーム、舞台は変わっても竜打線の勢いは変わらない。2日の阪神戦、中日は5点を先行されたが、6−5の逆転勝ち。前夜同様、打線が14安打の大爆発だった。最大の功労者は森野将彦内野手(31)。4回に逆転の2点二塁打を放つなど、3安打2打点。開幕から7試合連続安打で打率は4割8分。得点圏打率は何と6割。心強い存在の新選手会長だ。
絶対にオレが決める…、なんて気合はなかった。4回1死二、三塁。一打逆転の場面だ。さて、打席の森野は何を思った。「バットに当てれば何とかなるだろうと思っていました」
聞いた方が気が抜けるようなコメント。この脱力感が森野の好調を示しているのだ。「いつも、そう。去年も。当たったら、どこに球がいくかは知らない」。力の入るチャンス。「硬くなるんですよ」。だから昨季も脱力をポイントにしたという。そして打点王を最後まで争った。逆転の場面。ムダな力を抜いた森野の打球は左翼線へ飛んだ。逆転2点タイムリー二塁打だ。
「いろいろ考えるときは考えてしまいますけどね。でも、今は状態もいいですし」
絶好調だ。開幕から7戦連続安打、打率は4割8分、得点圏打率は6割だ。当然、打線は活気づく。4回は一挙5点の猛攻。5点のビハインドをはね返した。「みんなで、というよりも、とにかくボクらがしっかりしないと。若い選手たちに元気づけられるのではなく、ボクらが元気づけて、楽にプレーさせたい。何とか楽にやらせたい」
力みはないが、責任感は強い。今年から選手会長になった。バットで引っぱり、チームは2試合連続の逆転勝ちだ。
井端を1番に起用するなど、落合監督が前日(1日)に手を打ってから勢いが戻った。もっとも指揮官は「そう(成功のように)見えるけど、全部和田が死んじゃってる。そこをこれからどうやって解消していくか」と、先を見る。井端が6番から1番に移った後、和田は6打数1安打。課題は抱えつつ、一歩前に進んだのは確かだ。
城島が加わった阪神との初対決は快勝。捕手・城島と中日の対戦は05年の交流戦のソフトバンク戦以来だった。当時、ポジションをつかもうとしていた森野は主軸になった。
「城島さんのコメント、見ないようにしてました。新聞見て『城島』とあると、もう読まない。でも、今日まで。これからは読みますよ」
読めば、意識する。だからあえて無視した。この世界で生き、いろんな知恵も増えた。そして自然体で勝った。素で勝負しても強い。 (生駒泰大)
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