少なくとも、過去5年間に路上販売の弁当による食中毒は都内では起きていないが、細菌数が基準値の35倍で「鮮度が落ちている弁当もあった」(中央区保健所)という。弁当の温度管理が不十分なケースが多く、細菌が増殖しやすいという。
都は07年、各区に「路上に売り台などを固定しない」「商品は遮光性のある容器に入れ、温度管理をする」などの通知を出し、路上の弁当販売を減らすよう求めた。これを受け、港区も1年1回の行商届けの更新や新規参入時の審査を厳しくした。現地に職員が足を運びチェックする。
こうした規制に対して、ある業者は「弁当は保冷剤の入ったケースに入れ、客に渡す直前にしかケースからは出さないようにしているのに……」と話す。
一方、飲食店が問題視するのは商道徳。中央区には「他人の土地で販売している業者がいる」といった苦情がほぼ毎日寄せられる。店の近くに弁当のワゴンが来るという中央区のそば店主(75)は「路上販売はテナント料や固定資産税などのコストがなく、安くなるのは当たり前。本当に迷惑だ」と憤る。働く人の懐に響く問題。どうなるか?