【社説】「非常」措置と「正常」対応、国のかじ取り必要
哨戒艦「天安」が沈没してから31日で6日目を迎えたが、行方不明者46人の捜索作業は依然これといった進展がないままだ。海軍海難救助隊(SSU)と特殊戦旅団(UDT)所属の潜水士は、雨が降り、波の高さが1.5-2.5メートル、風速が8-12メートル、水温が4度、潮の流れが5.6ノット(時速10.4キロ)という過酷な気象条件のため、捜索作業を中断せざるを得なかった。こうした状況の中、政界や一部国民はそれぞれの主張や推測を繰り広げ、事態をますます分かりにくくしている。
2001年に米本土が初めて攻撃された同時多発テロの当時、米政府は直ちに国家全体の非常態勢を整え、与野党は上下院満場一致で決議案を可決し、政府と大統領を支えた。国民は自発的に政府の救助作業を支援し、「国を守るために志願入隊する」という青年が相次いだ。同時多発テロに対する政府・議会の合同調査は2002年11月に始まり、04年7月に最終報告がまとまった。
韓国も米同時多発テロの当時、米国が混然一体となり歩んだその道を行かなければならない。「天安」の行方不明者捜索など救助作業は非常対応で進めるが、事故原因の分析やその後の措置は、急いでばかりではなく、十分な時間を取り、正常な手続きを踏んで進めるべきだ。そうしてこそ、後輩を助けるために海に入り、殉職したハン・ジュホ准尉の件のような事件の再発も防ぐことができる。
軍潜水救助隊には現在、潜水病を防ぐのに必要な減圧室が一つしかなく、水中捜索装備などの十分な支援もないまま、海中に40メートル以上も潜っている。政府と軍は米軍の支援を受けてでも減圧室の数を確保するとともに、潜水艦救助艦「清海鎮」が持つ深海救助装備(DSRV)も速やかに事故海域に投入し、潜水士による捜索作業を支援する必要がある。
こうした中、与野党は同日も、野党が国会内に特別委員会を設置すべきだと主張したことをめぐり、対立を繰り返した。メディアは「天安」が真っ二つに割れた原因についてあらゆる推測、主張を行い、インターネットでも政府や軍を擁護する側と非難する側が書き込みで攻防戦を繰り広げている。
乗組員46人の生死も確認できないまま、国会に真相調査特別委員会を設置し、責任の所在を問うべきとの主張が政界の一部にあることは、行方不明となった乗組員とその家族に対する礼儀を欠くばかりか、理にもかなわない。今回の事態の検証は、救助作業が終了した後、政界が政府と共同で行うことも可能だし、政府による調査で疑問点や不十分な点が見つかれば、政界がその時になって直接乗り出しても遅くはない。
国民も今はひとまず政府、軍による救助作業と対応を見守るべきだ。国家的な非常事態に直面する中、内部が理念や支持政党によって分裂し、インターネットに「こんな軍隊に(兵役で)行かなければならないのか」といった書き込みが寄せられることは、国際的に恥ずべきことであるばかりか、自らの自尊心を傷つける行為でもある。そうすれば、そのすきをうかがう勢力だけが笑みを浮かべることになりかねない。
一方で非常時の措置を、もう一方では正常な対応を取り、「天安」の事態に対処していく責務は、「大韓民国号」の船長である大統領にある。大統領は体系的かつ効率的に事故処理を指揮し、事故原因を事実のまま国民に明らかにすることで、国民と政界の理解と協力を引き出す統合と説得のリーダーシップを発揮し、国の中心軸をしっかりと定めなければならない。
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