哨戒艦沈没:なぜ今魚雷被弾の可能性に言及?

沈没が魚雷によるものであれば、間違いなく意図的な攻撃

魚雷であれば当然北朝鮮あるいは第3国からの攻撃

国際社会への影響を考慮して言及を避けてきたが、海軍参謀総長はすでに可能性について明言

 金泰栄(キム・テヨン)国防部長官は2日の国会での質疑で、哨戒艦「天安」沈没事件の原因として、「魚雷の可能性が現実的」と発言した。この発言は国の内外で大きな波紋を呼び起こしそうだ。これまで大統領府は「天安」沈没の原因について、「あらゆる可能性を念頭に置いて調査を行なう」という考えを表明する一方で、魚雷については事実上、論外として排除するような雰囲気があった。外部からの攻撃だとしても、機雷の可能性ぐらいしか発言してこなかった。

 機雷の爆発が原因であれば、誰がその機雷を設置したのか、意図的だったのか、あるいは単なるミスによるものかによって、判断の選択肢が複雑になってくる。

 一方、魚雷によるものであれば、北朝鮮あるいは第3国による明らかな攻撃行為と考える以外にない。

 北朝鮮が防御のために設置した機雷が、北朝鮮の管理ミスで韓国の領海に流れ着き、事故が起こった場合、国際法の専門家は「機雷の管理ミスを起こした北朝鮮に責任を追及できる」という見解を提示している。しかし魚雷による意図的な攻撃であることが明らかになった場合、これは国際法に定められたルールから外れたことになる。魚雷攻撃の可能性を認めるのであれば、「どのように対応するのか」という質問が当然浴びせられる。場合によっては「北朝鮮が魚雷といった明白な攻撃目的で、停戦協定に定められた交戦守則に違反したのであれば、当然自衛権を行使すべきではないか」という過激な主張が出てくることも考えられる。

 大統領府や専門家が魚雷攻撃の可能性についての言及をためらう理由は、これを立証する明確な証拠がないということもあるが、それ以上に、「その後の影響が非常に大きくなる」という政治的な判断も作用している。

 そのため金長官が国会で「機雷か魚雷かということであれば、魚雷の可能性の方が大きい」と発言したのは、一つの決断を行なったとも受け取ることができる。国防部は先月28日の安保関係閣僚会議に提出した報告書で、事故原因について複数のシナリオを提示し、中でも「魚雷あるいは機雷による攻撃を受けた可能性を第1に検討しなければならない」と指摘している。

 キム・ソンチャン海軍参謀総長は先月30日に行なわれた李明博(イ・ミョンバク)大統領への報告の席で、李大統領が「機雷が爆発した場合、痕跡が残るのか」と尋ねたのに対し、「船体を引き揚げてみなければわからない。魚雷の可能性も排除できない」と説明したという。大統領は魚雷について尋ねもしなかったが、キム参謀総長はあえて「魚雷攻撃の可能性」を口にしたのだ。

 最近、軍内部では、「魚雷攻撃の可能性が最も高いというのが軍事的側面における判断だが、政治的な考慮が作用して判断に影響を及ぼしている」という不満の声も聞かれている。

鄭佑相(チョン・ウサン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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