衆院外務委員会は二日、日米間の密約問題で専門家を参考人として招き、外務省有識者委員会の報告書をめぐって質疑した。有識者委が沖縄返還決定時(一九六九年)の核再持ち込みに関する秘密合意を「密約とは言えない」と結論づけたことに対し、有識者委員を務めた坂元一哉大阪大教授が「私は同じ見解ではない」と異論を唱えた。
有識者委の報告書は、調査対象となった四つの「密約」のうち、沖縄核再持ち込みだけを認定しなかった。当時の佐藤栄作首相とニクソン大統領が署名した「合意議事録」には、嘉手納や辺野古などの再持ち込み場所が列挙されていたが、有識者委は、六九年の両首脳による共同声明の内容を「大きく超える負担を約束するものではない」と判断した。
坂元氏は、議事録の評価について「あの文書がなければ沖縄が返ってきたかは疑問だ。(共同声明よりも)踏み込んだものだった」と主張した。同じく有識者委メンバーだった春名幹男名古屋大教授も有識者委の結論について「やむを得なかった」としながらも、議事録は「核再持ち込みの場所まで設定している」と指摘。共同声明の内容を「超えているのは確かだ」と述べた。
沖縄核再持ち込みをめぐっては、岡田克也外相も「一般常識からみれば、密約ではないかという気がする」との見方を示していた。有識者委の中でも見解が割れていたことが明らかになり、その判断の妥当性があらためて問われそうだ。
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