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木村拓コーチ重体…試合前ノック中「くも膜下出血」
巨人ナインが心配そうに取り囲む中、人工呼吸を施される木村コーチ
Photo By スポニチ |
巨人・木村拓也内野守備走塁コーチ(37)が2日午後5時30分頃、広島市南区のマツダスタジアムで突然倒れた。対広島戦の試合前のシートノック中の出来事で、そのまま広島市内の病院に緊急搬送され、「くも膜下出血」と診断されて入院した。広島市消防局によると、緊急搬送時の同コーチの容体は意識不明の重体だという。現役コーチがグラウンドで意識不明に陥る事態に両軍はもちろん、球界に大きな衝撃が走った。
突然の事態に、マツダスタジアムが異様なざわめきに包まれた。午後5時33分。同6時のプレーボールに備え、本塁のバッターボックス付近でシートノックを行っていた巨人・木村拓コーチが突然ふらつき、直後に胸を押さえたまま崩れるようにうつぶせに倒れた。
そばにいた捕手の鶴岡が同コーチの体を仰向けにし、異常を察した小笠原や阿部らナインが一斉にベンチを飛び出した。しかし、同コーチはぐったりしたまま動かない。その様子を見た広島の球団職員が5時40分頃に119番。広島のチームドクターが心臓マッサージ、人工呼吸、自動体外式除細動器(AED)で心肺蘇生(そせい)措置を施し、その後に駆けつけた救急隊が同コーチを担架に乗せる。その際にも、関係者が周囲からタオルを持って取り囲み、事態の深刻さをうかがわせた。広島市内の病院へ緊急搬送された同コーチは、「くも膜下出血」と診断され、同病院に入院した。
木村拓コーチは広島に自宅があるため東京に単身赴任で生活。広島遠征の際はチーム宿舎ではなく、自宅から球場に通うのを楽しみにしていた。この日はチーム便より早い新幹線で正午前に広島へ到着。球場入り後は、3日に先発予定の山口にマンツーマンで走塁指導を行い「先発投手なんだから走塁練習をやるのは当たり前だぞ」とゲキを飛ばすなど精力的に動いていたようにみえた。しかしその裏では、関係者によると「きのうから頭が痛くて、昨夜は2時間ぐらいしか眠れなかった」と体調不良を訴えていたという。
同コーチは現役時代は投手以外のすべてのポジションを守るユーティリティープレーヤーとして活躍。巨人移籍2年目の07年には二塁の定位置をつかみ、原監督から「今年、拓(タク)がいなかったらと思うとゾッとしますね」と、陰のMVPと評された。昨年9月4日ヤクルト戦(東京ドーム)では99年以来10年ぶりの捕手で途中出場し、チームの窮地を救った。昨季限りで現役を引退し、今季から内野守備走塁コーチに就任。3月の新人研修では特別講師を務め、西武・雄星らを相手に3球団を渡り歩いた自らの野球人生を語るなど、球界では苦労人として知られる。
突然の出来事に両球団の関係者は動揺を隠せない。巨人は試合前に選手全員が一度ロッカールームへ戻り、首脳陣の説明を聞いてから再びベンチに戻ったが硬い表情を浮かべたまま。予断を許さない状況と伝え聞いた古巣の広島ナインも一様に容体を案じた。今年1月17日には日本ハム投手コーチだった小林繁氏(享年57)が心不全で急死したばかり。悲報はもう聞きたくない。今は木村拓コーチの回復を祈るばかりだ。
<搬送先の病院、親族ら駆け付け…>木村コーチが運ばれた広島市内の病院には、親族とみられる人たちが続々と駆け付け、こわばった表情で足早に中へ。巨人の球団関係者は「くも膜下出血で搬送された。今はそれ以上言えない」と言葉少なだった。救急外来入り口には多数の報道陣が集まり、深夜まで緊迫した空気に包まれていた。
▼巨人・鶴岡(木村コーチの異変に最初に気付き)とっさのことだったので…。無事を祈るだけです。
▼巨人・吉村野手総合コーチ (最近)変わった様子はなかった。早く元気に戻ってくるのを待っている。
▼巨人・篠塚打撃コーチ タクもそういう(勝ちたい)気持ちでいる。やっぱり頭のどこかでタクのことも考えちゃうと思うけど、選手は試合は試合としてしっかり集中していた。
▼広島・大野ヘッド兼投手コーチ 昔、一緒にやっていた仲間だし、突然のことでビックリした。回復を祈るだけです。
▼広島・高橋 年末に家族にも会ったし、年明けも話した。ゆっくりでいいから復活してほしい。それを祈るだけです。
▼阪神・新井(広島時代のチームメート)状況は少し聞きましたけど、本当に心配です。
▼佐々岡真司氏(スポニチ本紙評論家)ノックを打っているなと思って、少し目を離したら倒れていて…ビックリしました。きょうは家に帰る予定だったろうし、何とも言えない…。回復してほしい。今はそれだけしか言えない。
◆木村 拓也(きむら・たくや)1972年(昭47)4月15日、宮崎県宮崎市生まれの37歳。宮崎南から90年ドラフト外で日本ハム入団。94年オフにトレードで広島移籍。97年から両打ちに。04年にはアテネ五輪出場。06年シーズン中に巨人移籍。内、外野に加え捕手も守れるユーティリティープレーヤーとして活躍した。通算1523試合に出場、打率・262、53本塁打、280打点。昨季限りで現役引退し、巨人1軍内野守備走塁コーチ就任。1メートル73、75キロ。
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