昨年10月に4枚目のアルバム『モンド ロッチャ』を発表し、11月より全国ツアーを開始したザ・クロマニヨンズ。年をまたいで行なわれたツアーの終盤戦、新木場スタジオコーストでの模様をレポートする。
3月13日(土)新木場スタジオコースト
昨年11月11日から始まったツアーも終盤戦(3月24日には早くも、ツアー初日の模様を収録した、クロマニヨンズ初のライブ映像作品『MONDO ROCCIA '09.11.11』が、リリースされた)。新木場スタジオコーストは、開演前から異様な熱気に包まれていた。
ムーディなSEに乗ってメンバーが登場し、甲本ヒロト(vo)が"やるぜ! ロックンロール!"と叫ぶと、アルバム『モンド ロッチャ』同様に「ジャングル・ジャミン」からライブはスタートした。
のっけから観客もバンドと一体となって"オラ,オラ,オラ,オ!"と全力で声を上げる。真島昌利(g)のソリッドなギターは、シンプルゆえの存在感を持って会場の熱を高めていく。王道ロックンロール・ソロを弾くマーシーの横で、ヒロトがいつもどおりの常人離れした動きでダンスを踊っているだけで、"ロックンロール"とは何かを教えてくれる気がした。
「アウト」ではロカビリー的な速弾きリックを折り込んだソロも挿入。「連結器よ永遠に」や「うめえなあもう」などで心地よく挟まれるR&Rオブリはオーソドックスだが、それをこんなにカッコ良く聴かせられるギタリストが何人いるだろうか?
それまでのレス・ポール・ジュニアから、四角いボディが印象的なグレッチのボ・ディドリー・モデルに持ち替えて「酒じじい」、「恋に落ちたら」(歌詞が"あのね"だけで構成された曲にこのタイトルをつけるマーシーが素敵)、「炭酸」をプレイ。「炭酸」ではラスゲアードのようなフレーズを挟み込んだソロが南国フレーバーをまき散らす。
"ちょっと早いけどお色直し"と、上半身裸になりながらヒロトが話している間に、水色のストラトキャスターに持ち替えたマーシーが、ブルージィなフレーズで指慣らしをしていると、ヒロトもブルースハープを持ち、軽くセッション。続いて、1stアルバムから「草原の輝き」が演奏された。ハープとギターのかけ合いソロを始め、ロング・フィードバックのみで乗り切るソロ後のBメロやチョーキング・オブリで聴かせるAメロ、エンディング近くでの長尺なギター・ソロと、マーシーのギターを思いっきり堪能できる曲だ。
再び、レス・ポール・ジュニアを手に「フンカー」、「ムーンベイビー」、「エロこそすべて」と続けていく。「ムーンベイビー」は歌に呼応するAメロのオブリの切れ味が最高。この曲に限らずだが、歌と密接な関係にあるギターが気持ちいい。
ヒロトは相当ゴキゲンなようで、ここで"さっきの曲が「地獄のハイウェイ」で、次が(アルバム)『悪魔の招待状』から〜"と前日にさいたまスーパーアリーナで来日公演を行なったAC/DCネタのMCを。"あいつらが本当にロックンロールが好きなら、今日(この会場に)来てるわ!"との発言には大歓声が上がった。その歓声に続けて、"ミッキーマウスからはメールが来てた"とミッキーマウスの声マネを披露したのはご愛敬だ。
ライブ後半、「スピードとナイフ」のソロはメロディ重視タイプのソロだが、上がりきらないチョーキングなど、狙ってわざとヘタに弾いているんじゃないかと思わせる(フレーズのはずしどころを心得ているというか)プレイは、まさに"味がある"という表現がピッタリ。スピード感のある単音リフがクールな「悲しみのロージー」では、白玉コードを弾く際に、マーシーと小林(勝:b)が同時に手を上げ、エンディングではふたりで腕を振り回してウインドミル奏法をしていたのが、意識しているのかどうかはわからないが(たぶん意識してないだろう)何ともロックバンド然としていてカッコ良い。コード一発弾いて右手を高く上げる。それだけで絵になるのだ。
アンコールは全員が上半身裸で登場。見事な細マッチョ具合に、そのストイックさを改めて感じる。「笹塚夜定食」、「メインジェット」、「ネギボーズ」というシングルのカップリング曲の3連発に続き、この日のラスト・ナンバーはおなじみ「タリホー」。この日一番の大合唱が会場に鳴り響きライブは終了した。
時間にして1時間半。他アーティストでは、ダブル・アンコールやトリプル・アンコールも珍しくない昨今のライブ事情に比べると潔すぎる感もあるが、それで十分に満足できる、濃密すぎる1時間半だった。
撮影:柴田絵里
初のライブDVD!
『MONDO ROCCIA '09.11.11』
アリオラジャパン BVBL-31
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