議員辞職し、記者会見する若林正俊氏=2日午前、国会内 |
自民党参院議員で長野県区選出の若林正俊元農相(75)は2日午前、参院本会議採決の際に青木幹雄前党参院議員会長の投票ボタンを代わりに押していた問題の責任を取り、江田五月参院議長に議員辞職願を提出、その後の参院本会議で辞職が許可された。若林氏は本会議後に国会内で記者会見。「魔が差したとしか言いようがない。自覚が足りず恥ずべき行為だと思っている」と説明した。
若林氏によると、3月31日の参院本会議で、隣席の青木氏が席を離れた際、2010年度NHK予算承認案など計10件の採決で代わりにボタンを押したという。会見で若林氏は「国会議員として許されざる行為。責任の重大さを自覚し、江田議長に議員辞職願を提出した」と述べた。
理由については「青木氏とは日ごろから、どのような考えで採決するかは一致していた。離席した青木氏がすぐに戻ってくるだろうと思い、ボタンを押してしまった」と説明。「国民、すべての長野県民に申し訳ない」と謝罪した。青木氏からの依頼は否定し、過去に同様の行動をしたことはないとした。
自民党県連の吉田博美会長は「これまで指導してもらってきたので残念だ。事実であれば弁解の余地はない」と話した。
民主党は2日、「前代未聞の不正。民主主義を否定する行為で、断じて許せない」と批判する懲罰動議を提出したが、若林氏の辞職を受け取り下げた。
若林氏は参院議員を2期務めた。昨年12月に政界引退を正式表明。自民党県連は次期参院選に、若林氏の長男で元秘書の健太氏(46)を公募で擁立している。