センバツの80回の歴史に新たな1ページが刻まれた。成章、安房、華陵。21世紀枠で選ばれた3校がそろって初戦を突破。成章は好投のエースを抜群のチームワークでもり立てて「ヒグマ打線」の駒大岩見沢に競り勝ち、安房は全力疾走・全力プレーの勢いが城北との投手戦の均衡を破った。楽しむ野球を目指す華陵は失策にも萎縮(いしゅく)せず、好守で挽回(ばんかい)して伝統校・慶応の反撃をしのいだ。
21世紀枠出場校の1大会通算3勝は、01年に宜野座(沖縄)が準決勝進出までに重ねた勝ち星と並ぶ最多記録だ。21世紀枠は、新世紀の甲子園に新しい息吹を吹き込もうと、01年の第73回大会で創設され8年目。「困難な条件を克服して野球を続けている」「高校生の頑張りが学校・地域に元気を与えている」などの基準で、各大会2校ずつ選出してきた。記念大会の今回は1校多く出場している。
宜野座は01年夏、沖縄大会を勝ち抜いて甲子園に出場。第74回大会で選ばれた鵡川(北海道)も2年後に一般選考枠でセンバツに返り咲いた。21世紀枠の活躍は、出場校や似たような境遇の他校に「自分たちにもできる」という夢を与え、成長を促してきた。今大会での3校の活躍は、その集大成ともいえる。
当時の宜野座監督、奥濱正さん(47)=現・名護監督=は出場が決まった時、「自分たちも周囲にも、本当に出ていいのかという思いがあった」と打ち明ける。しかし、「実際にやってみて、相手も同じ高校生なんだ」との思いを強くした。3校が初戦を突破したことについては、「宜野座と同じように不安はあったと思うが、勝つことで自分たちの可能性がわかったと思う。この勝利が野球部にも学校にもプラスの効果をもたらすはず」と期待を込めて語った。
成章、安房は第6日の2回戦でそれぞれ平安、宇治山田商と対戦。華陵も第9日の3回戦で天理と当たり、勝ち星の積み上げを目指す。【濱弘明】
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出場校 勝敗
【73回】
安積 ●1-5金沢
宜野座 ○7-2岐阜第一
○4-3桐光学園
○4-2浪速
●1-7仙台育英
【74回】
鵡川 ○12-8三木
●0-1広島商
松江北 ●3-5福井商
【75回】
隠岐 ●1-15浦和学院
柏崎 ●1-2斑鳩
【76回】
一関一 ●0-6拓大紅陵
八幡浜 ●3-6鵡川
【77回】
高松 ●2-6宇部商
一迫商 ○5-2修徳
●2-19天理
【78回】
真岡工 ●1-9PL学園
金沢桜丘 ●3-4愛知啓成
【79回】
都留 ●2-3今治西
都城泉ケ丘 ○2-0桐生第一
●1-4大垣日大
【80回】
成章 ○3-2駒大岩見沢
安房 ○2-0城北
華陵 ○1-0慶応
毎日新聞 2008年3月27日 大阪朝刊
北海道 | [北照] |
---|---|
東北 | [盛岡大付(岩手) | 秋田商(秋田)] |
東京 | [帝京(東京) | 日大三(東京)] |
関東 | [前橋工(群馬) | 花咲徳栄(埼玉) | 東海大望洋(千葉) | 東海大相模(神奈川)] |
東海 | [中京大中京(愛知) | 大垣日大(岐阜) | 三重(三重)] |
北信越 | [高岡商(富山) | 敦賀気比(福井)] |
近畿 | [立命館宇治(京都) | 大阪桐蔭(大阪) | 神港学園(兵庫) | 神戸国際大付(兵庫) | 天理(奈良) | 智弁和歌山(和歌山)] |
中国 | [開星(島根) | 関西(岡山) | 広陵(広島)] |
四国 | [今治西(愛媛) | 高知(高知)] |
九州 | [自由ケ丘(福岡) | 宮崎工(宮崎) | 嘉手納(沖縄) | 興南(沖縄)] |
21世紀 | [山形中央(山形) | 向陽(和歌山) | 川島(徳島)] |