大阪市の1級建築士が、京都に建設する予定のマンションの構造計算書について、はりの強度が不足しているおそれがあるにもかかわらず、問題がないよう偽装して提出していたことがわかりました。事前のチェックで偽装がわかり、このマンションは着工されていませんが、国土交通省などは、この建築士が構造計算を行った大阪や京都などの119の物件で、偽装がないか調べることにしています。
構造計算書を偽装していたのは、大阪市鶴見区に事務所がある「ミレ建築設計事務所」の張武雄1級建築士(65)です。国土交通省によりますと、張建築士は、京都府八幡市に建設が予定されている鉄骨3階建てのマンションの構造計算書を作成する際、コンピューターにはりの強度が不足しているおそれがあり、再検討を求めるメッセージが表示されたにもかかわらず、この部分を消すなどして、去年8月、確認検査機関に提出していたということです。強度の再検討を求められたのは、建物のコンクリート製のはり内部の構造で、確認検査機関のチェックで偽装がわかり、張建築士に確認したところ「再検討するのが面倒だったので偽装した」と偽装を認めたということです。偽装が判明したため、このマンションは現在も着工されていません。国土交通省によりますと、張建築士が構造計算を行った物件は大阪や京都、それに兵庫のマンションなどあわせて119件あるということで、自治体などを通じてほかにも偽装がないか調べることにしています。