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足利事件 県警検証し謝罪

「厳粛に受け止める」元刑事部長

記者会見の冒頭、頭を下げる高久均刑事部長(右)と滝沢依子警務部長

 DNA型鑑定を過大評価し、自白の「吟味」も不足していた――。足利事件の捜査を巡る問題点の検証結果が公表された1日、県警で記者会見した滝沢依子警務部長、高久均刑事部長は、検証の内容を説明するとともに、県警としての再発防止策を発表した。

 「犯人でない菅家さんを虚偽自白に追い込み、逮捕し、長期間にわたり刑に服させてしまいました。改めておわび申し上げます」

 記者会見の冒頭、滝沢警務部長、高久刑事部長は、深々と頭を下げた。

 県警は昨年6月の菅家さん釈放の翌日、検証チームを設置。刑事部長以下23人が、当時の捜査幹部ら11人の聞き取り、捜査資料の分析、現地調査などを行った。菅家さんへの聞き取りは、警察庁が申し入れたが、菅家さん側が応じなかったという。

 検証結果の報告書では、捜査の問題点として、〈1〉DNA型鑑定への過大評価〈2〉取り調べ対象者の「迎合」の可能性に対する留意の欠如〈3〉自白の信用性の吟味の不徹底――などを挙げた。聞き取り調査した元幹部ら全員が「(菅家さんが犯人だと)思い込み、疑いを持つことはなかった」という。

 滝沢警務部長は「結果を重く受け止めている。(菅家さんの無実が晴れるまで)長い年月が過ぎてしまったこと、我々も背負っていかなければいけない事実」とし、再発防止への決意を語った。

 一方、菅家さんが「取り調べで髪を引っ張られた」などと訴える暴行、自白の誘導といった行為については「話を聞いた当時の取調官らは否定している。確認できなかった」と述べるにとどまり、証言のすれ違いの理由は「わからなかった」とした。

 県警は、菅家さんに直接、検証結果について説明する方針で、弁護側と調整中。滝沢警務部長は「菅家さんから(捜査への意見などの)話があれば聞きたい。適切に対応したい」と述べた。

 また県警は、足利事件の被害者の遺族にも検証結果を説明し、未解決の謝罪をする方針。菅家さんは別の2件の女児殺害事件でも逮捕され、不起訴(嫌疑不十分)となっている。足利市で起きた女児殺害事件が3件も未解決となったことに、高久刑事部長は「県民の不安を払拭(ふっしょく)するよう捜査活動を真摯(しんし)に努力したい」と述べた。

2010年4月2日  読売新聞)
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