哨戒艦「天安」の沈没原因の究明が遅れる中、さまざまな陰謀論やうわさが広がっていることに対し、与党ハンナラ党が率先して情報公開を主張している。2年前の米国産牛肉をめぐる牛海綿状脳症（BSE）問題で、政府の不十分な対応が陰謀論の拡大、政府に対する信頼度低下を招いたことを踏まえ、「悪夢」を繰り返してはならないとの理由からだ。最近インターネット上での世論はBSE騒動当時と同様のパターンを見せており、積極的な対策が必要だとの指摘だ。

　ネット上などでは、「天安」の沈没原因を「韓米合同演習中の誤爆」と断定したり、「選挙を目前に控え、保守票を集めるための自作劇だ」「青瓦台（大統領府）が黒幕だ」といった陰謀論や流言飛語が飛び交っている。BSE騒動では政府が米国産牛肉の安全性を早期にしっかり説明しなかったため、「米国産牛肉イコールBSE感染牛肉」といったうわさが広がり、政府に対する不信感がピークに達した。ハンナラ党関係者は「一部の陰謀論がファクト（事実）と巧妙に結び付き、まるで事実かのように仕立てられており、世論に与える悪影響は想像以上に大きい」と懸念を示した。

　このため、ハンナラ党は「透明な情報公開」を叫び、先手を打つことで、陰謀論の抑え込みに総力を挙げている。鄭夢準（チョン・モンジュン）代表は1日の党最高委員会議で、「米同時多発テロのように全世界が注目する大きな事態でも米政府が黒幕かのような陰謀論が存在した。あらゆる推測、憶測を抑える最善の方法は事実を明らかにすることだ」と述べた。

　国防部長官を歴任した金章洙（キム・ジャンス）国会議員（ハンナラ党）も「陰謀は真実が明らかになればすぐに消え去る。冷静に見守らなければならない」と述べた。

　ハンナラ党幹部は「国家安全保障を決定的に脅かす内容でない限りは、全ての情報を公開すべきだ。調査団に野党や行方不明者家族の代表を参加させる案も検討可能だ」と述べた。

　ハンナラ党は、野党が求める国会真相調査特別委員会の設置にも積極的に応じる構えだ。

イム・ミンヒョク記者