哨戒艦沈没:李大統領「政治的に利用してはならない」

北朝鮮による攻撃説に対し「現在のところ、証拠はない」

 李明博(イ・ミョンバク)大統領は、1日午前に開いた非常経済対策会議と、南米地域へ派遣された与党ハンナラ党の特別視察団との昼食会の席上で、韓国海軍の哨戒艦「天安」の沈没事故についての心境を述べた。

 李大統領はまず、事故の原因に関し、メディアやインターネット上でさまざまな推測が出ていることに対し、かなり困惑した様子で「望ましくない、危険な兆候だ。絶対に(今回の事故を)政治的に利用してはならない。6カ国協議の当事国として、主要20カ国・地域(G20)首脳会議の議長国として、責任ある行動が求められている。国内的な発想だけで行動してはならない。少しでも疑惑が浮上したり、隙を見せたりしてはいけない。そうしてこそ、国際社会から信頼を得ることができる。最終的な結論が出るまでは、冷静に待ち続けるべきだ。それが、国を愛する心というものだ」と述べた。

 その上で李大統領は、今回の事故が「北朝鮮による攻撃」だとするうわさが広まっていることについて、「北朝鮮の攻撃だった可能性も排除していないが、現在のところ証拠は見つかっていない」と説明した。李大統領は「艦艇には(事故の当日)特に異常はなかったという。あらゆる可能性があると思うが、北朝鮮が介入したという証拠はまだ見つかっていない。西海(黄海)で交戦がぼっ発したときは、北朝鮮側の動きを示す情報(内部の通信記録や交信など)がもたらされたが、今回はそうした情報はなかった」と述べた。

 大統領府のある幹部は、「今回の事故について、政府が慎重な姿勢を見せているため、一部では“北朝鮮による介入の可能性を意図的に低減しようとしているのではないか”という誤解が生じている。北朝鮮による介入の事実が明らかになれば、むしろ(今回の事故に関する)政府の姿勢はよりはっきりしたものになるところだが、慎重な姿勢を見せるということは、まだ証拠がないということを示すものだ」と語った。

 一方、李大統領は、事故の原因を解明するには相当な時間を要するだろう、という見解を示した。李大統領はこの日、オバマ米大統領との電話会談で、「まだ原因は明らかになっていない。(事故原因の解明には)高度な技術が必要だ。結論を出すまでには時間がかかると思う」と述べたという。

朱庸中(チュ・ヨンジュン)記者

辛殷振(シン・ウンジン)記者

【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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