哨戒艦沈没:ナイフで切ったような切断面

 天安号沈没の原因について軍が明確な分析結果を提示できない中、「天安号は垂直にきれいに切断されていた」という主張が出た。これについて海軍は、「まだ確認されてはいない」とコメントした。専門家は「いくつかの断片的な事実だけで原因を突き止めるのは難しい」としながら、魚雷や機雷による水中爆破でも、切断面がまっすぐになることがある」と述べた。

 魚雷や機雷が船体の真下の水中で爆発した場合、強力な衝撃波により「バブルジェット」効果が発生する。すると艦艇は、弓のように曲がり、船内にいると浮き上がるような感じを受けるほど激しく揺れる。海軍出身で特殊艦専門家のA氏は、「衝撃があまりにも大きいため、瞬間的に亀裂も生じる。このときに船体が割れると、溶接部位を中心にきれいに切断されることもあり得る」と語る。

 水中爆破の位置と船体切断面の位置が異なることもあるという。A氏は「艦尾終端部の下で魚雷や機雷が爆発し、その衝撃で艦尾が浮き上がれば、船体が曲がって二つに割れることもある」と説明する。

 一部で指摘されている「疲労破壊説」について専門家は、「断言することはできないが、その可能性は低い」と語る。疲労破壊とは、微細な亀裂と衝撃が積み重なって破壊が進む現象のことをいう。切断面はきれいに割れ、船体は二つに割れるのが特徴だ。1943年には停泊中だった米国のT2タンカー、98年にはオランダからカナダに向かっていた貨物船「フレア号」も同じように沈没したが、正確な事故原因は不明のままだ。

 1989年に就航した天安号は、99年の延坪海戦では艦尾が攻撃され破損した。行方不明者家族の一部は「乗組員から、“この船は床から水がしみ出していたため、最近になって修理をした”という話を聞いた」と語っており、疲労破壊にも説得力があるのではないかという主張もある。

 しかし専門家は、「疲労破壊の可能性はほぼない」と主張する。ある国立研究所研究員のB氏は、「疲労破壊の場合は徐々に船体が曲がり、限界点に到達したときに分離する。爆発と同時に一瞬にして二つに割れたという生存者の証言は、これとは相反する」と述べた。海軍出身で造艦専門家のC氏は、「韓国海軍は1940年代の第2次大戦で使われていた米艦船を90年代末まで使っていたが、疲労破壊などは1回も起こったことがない」と語る。軍艦は訓練に参加するとドックでしっかりと整備されるため、外部の衝撃がない限り、老朽化で沈没するという主張には説得力がないということだ。

チョン・ヒョンソク記者

【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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