【社説】国の品格おとしめるネットのドブネズミたち
「天安失踪(しっそう)将兵家族協議会」のイ・ジョングク代表は1日に行われた会見で、「ある放送局が『天安の船尾部分で行方不明者の遺体が見つかった』と報じたため、これを見た協議会の会員一人が失神した。別の家族も、脱水症状や精神的な衝撃を受けて治療を受けている」と語った。イ氏は「インターネット上の悪質な書き込みも家族を苦しめている」と述べた。イ氏がこのような発言を行ったのは、前日夜に放送されたテレビニュースの内容が直接の原因だった。そのニュースは「行方不明となっている46人の乗組員のうち、4人の遺体が発見されたようだ」と報じたが、これは後から誤りだということが分かった。また、同日夜には別のニュースでも、「海軍の潜水隊員が天安の船首部分に入ってみると、船室にはすでに水が詰まっており、多くの器具が浮いていたが、行方不明者の姿は見られなかった」と報じた。しかし、これもやはり事実とは異なっていた。
イ氏が指摘したように、ネットには「400メートルでもなく、わずか40メートルの深さで6日も遺体を発見できないというのは、過去に例のないコメディーだ」「船の中には遺体しかないに違いない」「あの程度の能力で戦争をするというのか」などの悪質な書き込みが多く目につく。李明博(イ・ミョンバク)大統領が事故現場を訪問したというニュースについては、「とても格好いい皮ジャンパーを着ていた。芸能人みたいだ」「犯人は犯行現場に必ず戻ってくる」などといった低劣な書き込みがあり、今回の事故原因に対しては「政府の自作自演」「韓米連合軍事作戦の際に起きた韓国軍の誤爆」などと書き込まれていた。
国が非常事態にある状況で、ネットにこの種の書き込みを行う行為は、到底正常な人間のやることとは考えられない。根性がひん曲がったという言葉でも表現しきれないだろう。このような書き込みを行う人は、韓国社会の恥だ。死に直面した後輩たちを助けるために、氷のような海に何度も飛び込んだハン・ジュホ准尉のことを思えば、ネットの匿名性を利用し、ドブネズミのように関係者の心の傷を広げるこれらの卑劣な行為は、より一層際立ってくる。
野党指導部の会合では、「新しい国防長官と海軍参謀総長が救助作業と原因究明に取り組むべきだ」「政府と軍は事件を隠ぺいし、世論を誘導しようとしている」などといった政府を非難する発言が相次いだが、これも正道から外れている。
1980年代初めごろ、英国では高い失業率とインフレにより、全国各地で暴動が起こるほどの大きな混乱が続いた。このような中、82年4月にはアルゼンチンが英国領フォークランド島に突然侵攻した。英国の政界と与野党は、直ちに政党を超越してサッチャー首相(当時)に全権を委ねた。エリザベス女王は、英国の巡洋艦や駆逐艦がアルゼンチン軍から攻撃を受ける戦場に、次男のアンドリュー王子を参戦させ、国民世論も王室と政府を中心に一つとなった。米国では2001年、9・11テロに見舞われた際、与野党の議員はワシントンの議事堂前に集まり、「軍の統帥権者である大統領を支持する」と宣言した。市民ボランティアや献血希望者も多く駆けつけたが、マスコミは「涙」「報復」などといった感情的な表現をできるだけ自制し、記事には使わなかった。その結果、政府と国民は冷静に事に対処することができた。
大韓民国海軍の艦艇が、大韓民国の最前線で一晩のうちに爆発、沈没して海軍の兵士数十人が行方不明になっている。これだけでも戦時に準ずるような状況だ。このような危機的状況で、政界やマスコミ、国民が各自の立場をわきまえ、自らのやるべきことを果たし、いかに毅然(きぜん)とした態度を取り続けることができるか。これによって大韓民国の国家としての、あるいは国民としての品格を知ることができるのだ。
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