WEBタイムス 2009年(平成21年)1月1日1046号
 新年号特集

西広島の「食」の安全を考える 消費・生産者つなぐ食育・地産地消

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生後10ヵ月のホルスタインのメス「ブラッドリーチャンピオン」(写真は廿日市市玖島のにしお観光農園で)
 中国製冷凍ギョーザ中毒事件に始まり、メラニン混入、殺虫剤や防虫剤の検出、事故米、残留農薬や産地偽装などの問題が相次いで発生し、日本中が『食』に対する不安に揺れました。二○○九年は消費者自らが食材や食品について今まで以上に見極めなければいけない一年になりそう。食の安全とは何か。食卓に安全・安心を運ぶ手段としてはもちろん、あまねく不景気を考慮し、未来を担う子どもたちの食育の観点も加味して、生産者の顔が見え、消費者の思いも届く「地産地消」を選択するのも賢いのかもしれません。
 二○○九年新年号のタイムスは、「食」をテーマに考えました。○八年は食に関するさまざまな問題が起こり、不安の絶えることが無かったように思います。本来、食は安心・安全でおいしく楽しいもののはずです。
 広島市は今年度の予算を大幅に増額し、廿日市市では各課が連携して取り組みを進めるなど、地元自治体での「食育」推進が急速に進んでいます。
 好きな食材を季節に関係なく買うことができるのが当たり前の日々。買い物袋をのぞいて見てください。地元産がどれだけありますか?。おせち料理で地元産品を見つめ直してみるのもいい機会でしょう。
 「食育」・「おせち」・「我が家の雑煮」。正月らしさを出しながら、さまざまな角度から「食」に触れてみました。

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西広島の食材で作る「究極のおせち料理」
 地元西広島地区には海の幸・山の幸、豊富な食材があふれています。身近に暮らしながらまだ口にしたことのない地場の野菜や魚介類があるという人も多いはず。2009年西広島タイムス年末年始号では、「食の安全」をテーマに「地産地消」にこだわり、正月らしく地元食材を用いた「おせち料理」を作ってみました。ご覧ください。

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こんにゃく(子持ち・田舎)
 清流に恵まれた地で生み出された湯来の特産品。魚卵を混ぜた「子持ちこんにゃく」は従来の凝固剤を使用しておらず、歯ごたえがあり、生で食べてもおいしい。「田舎こんにゃく」は生イモ一○○%を使用し、昔ながらの製法を守っている。全国に名を広めた「刺身こんにゃく」をはじめ、志そこんにゃく・らーめんこんにゃくなどバラエティーに富んだ約十五種類がある。
 協力/藤利食品(有)(広島市佐伯区湯来町菅沢)/TEL(0829)83・0145。

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 廿日市市佐伯地域の小瀬川沿いの、比較的近場にある栗園。栽培には有機物肥料を使うこだわりようで、実は大粒で糖度も高い。毎年9月初旬〜10月末ごろまで開園しており、期間中は栗拾いを存分に楽しむことができる。国見・築波・岩根など種類は豊富。拾った栗を持ち帰ることはもちろん、焼き栗や栗ご飯などで味わうこともできる。
 協力/小瀬川栗園(廿日市市津田)/TEL(0829)72・0936(昼)、TEL(0829)72・0034(夜)。

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醤油
 創業は大正13年。「水のまち佐伯」で自然なうまさと醤油本来の香りを生かした手造りを続ける。塩分控え目で体にも優しい。濃口醤油「特選」は農林水産大臣賞(平成7年)と全国品評会食糧庁長官賞(同10年)を、「さしみ甘露醤油」は農林水産省総合食糧局長賞(同17年)を受賞するなど評価は高い。大野瀬戸のカキを使用した宮島かきのしょうゆ、ゆずぽん酢なども扱う。
 協力/佐伯醤油(有)(廿日市市津田)/TEL(0829)72・0302。

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かまぼこ
 創業は明治後期。漁業の盛んな草津で生まれ、百年以上もかまぼこを作り続けてきた。宝船やタイといった縁起物をかたどった「飾りかまぼこ」なども生産している。イベントで、熟練の職人がかまぼこ作りの実演をすることも。その日に水揚げされた新鮮な生魚を加工する昔ながらの製法でつくった品は、「甘味、旨みが普通のとは全然違う」(同社)。伝統を守り、もっとおいしいかまぼこを消費者に届けたいと胸を膨らませる。
 協力/(有)坂井屋(広島市西区草津本町)/TEL(082)271・3304。

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あわび茸
 肉厚できめ細かい肉質。あわびのような食感が味わえる「森のあわび」が万人をとりこにする。栽培が難しく量産も困難なため、日本で栽培しているところは少なく、西日本では唯一、豊かな自然に恵まれた吉和・女鹿平高原で人工栽培している。中国では高級食材として使用され、ビタミン・ミネラルなど豊富な健康食材としても有名。刺身やステーキはもちろん、どんな食材にもなじむ。
 協力/クヴェーレ吉和(廿日市市吉和)/TEL(0829)77・2277.

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生椎茸・大根・人参・ごぼう・ほうれん草・米(広島ひとめぼれ)
 玖島のほうれん草やきのこ屋本舗(吉和)の生シイタケなど、廿日市市の豊かな環境の中ですくすくと育った新鮮野菜はJAを通じて市場に出る。「旬彩市場さくら館」(同市下平良1丁目)で毎週日曜日(1/14から常設)に開催している朝市にも並ぶ。取りたて直送の旬野菜は、あっという間に品切れになる盛況ぶりだ。
 協力/JA佐伯中央(廿日市市宮内)/TEL(0829)39・3215営農販売課。

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大野カキ・ナマコ・大野あさり
 「大野瀬戸かき海道」として知られている大野産カキ。瀬戸内海で育まれた“海のミルク”は、身が引き締まり滋味があふれていると評判。旬は12月〜3月だが、二〇〇八年には一粒の重さが一七〇グラム超の夏カキの新ブランドも立ち上げた。ふくよかな味わいと品質の良さで知られる「大野あさり」。伝統の手掘りにこだわり一つひとつ丁寧に収穫する。5・6月が旬。冬場にはナマコも取れる。
 協力/大野町漁業協同組合(廿日市市沖塩屋)TEL(0829)55・0048。

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平良イチゴ
 大粒で甘さが自慢。廿日市地域の特産で、主に「さいき中央イチゴ」の名で出荷される。約四十年の歴史があり、特に平良地区で盛んに栽培され「平良イチゴ」の名で有名になった。今年から品種を「レッドパール」から「紅ほっぺ」に変更。伝統の良さをそのままに、おいしさと育てやすさを増しているようだ。二○○八年からは地域初となる観光農園も登場し、より身近になっている。
 協力/はつかいち苺ファーム(廿日市市上平良字河野原)/TEL(0829)37・4700。

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日本酒
 同社の銘柄の一つ「延寿菊」は、菊の花を浮かせた酒を飲むと長命を保てるといういわれから名付けた酒。正月などにはぴったりの縁起の良い酒だ。地元の神社・草津八幡宮でも、正月の振舞酒には延寿菊の甘酒を出している。写真は、平成20年新酒鑑評会で金賞を受賞した「みゆき大吟醸」。化粧箱入りの高級品で、この酒もおめでたい席にはもってこい。このほか、本醸造酒やしぼり立ての原酒、加えて「月見酒」「雪見酒」といった季節限定酒も造っている。
 協力/(株)小泉本店(広島市西区草津東)/TEL(082)271・4004。

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調理協力/鈴峯女子短大専攻科栄養専攻1年生の皆さん(左から、畑本亜由美さん、山田蓉子さん、武本恵美さん、久保千夏さん)
 西広島の食材を中心に使って、いいおせちができました。初めて知った食材もあったけど味も抜群!身近にあるものだけでもこんなにおいしい料理ができるんだなと勉強になりました。
 簡単にできるので、皆さんもぜひ作ってみて!!

おせちに一品 西広島の隠れた逸品
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「珍味・子持ちこんにゃく」
 魚卵を練り込み味付け加工した子持ちこんにゃくは、湯来の特産品。子孫繁栄を願う数の子の代替品としておせち料理に入れても縁起が良い。プチプチッとした食感はやみつきになり、酒の肴としても合う。そのまま食べても天ぷらにしてもおいしい。
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「高級食材・あわび茸」
 知る人ぞ知るあわび茸。一般のキノコに比べると若干高価だが、エリンギ以上の食感はまさしくアワビそのもの。廿日市市吉和の女鹿平温泉クヴェーレ吉和のレストランでは、アワビ茸のステーキやあわび茸の刺身(要事前予約)を味わうことができる。


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