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4月からこう変わる:/下 大病院、患者の負担増

 医療行為や薬の価格の基になる診療報酬が2年ぶりに改定され、10年ぶりに引き上げられた。医師らの収入となる報酬が上がることで患者負担も変わる。【山崎友記子】

 ■診療所は安く

 診療報酬は検査や治療の内容ごとに点数で定められている。点数を合計し、1点10円で換算した金額から医療費が決まる。今回の改定では、高度な手術や救急救命などを実施する大規模な病院に報酬を手厚くした。このため、夜間に救急外来に担ぎ込まれたり、大きな手術を受ける重症患者の負担は増えるケースが多い。

 一方、慢性疾患などで医療機関にかかる場合はどうか。同じ病気で再度受診する際の再診料は、診療所ではやや下がり、一般病床200床未満の中小病院では上がって統一された。

 再診料や初診料には、患者の年齢や受診する時刻によって、さまざまな上乗せ(加算)がある。再診料の基本的な計算の仕組みは図の通り。

 例えば、会社員が平日午後5時に、かぜをぶり返して診療所で再度受診すると診療報酬は69点(690円)。再診料は自己負担が3割の人なので207円になる。しかし、会社員の5歳の子どもが時間外の午後8時に再受診すると、「6歳未満」「時間外」の加算が付く。報酬は69点+135点で204点(2040円)。3割の612円が自己負担になる。

 傷の手当てなどの処置がなく、問診だけの場合に再診料に上乗せできる「外来管理加算」は、薬を継続して出すための簡単な症状確認では付かなくなった。

 ■薬価引き下げ

 薬価は下がった。また最初に開発された先発医薬品と同じ効用で、割安な後発(ジェネリック)医薬品の利用を促進する仕組みが盛り込まれた。このため、服用する薬の種類や処方する医療機関にもよるが、薬代の負担はやや減りそうだ。

 高血圧症があり、毎日1種類の薬を服用している人をモデルに改定前後の費用を比較してみた=表参照。

 3月までは先発品を使い、4月から後発品に切り替えた場合、技術料にあたる調剤料は上がるが、薬剤料が安くなるため、患者負担は340円程度減る。

 後発品の利用には抵抗のある人もいるが、日本薬剤師会の山本信夫副会長は「安全性に問題はないので後発品が使えるか薬剤師に相談してほしい」と話す。

 ■領収書に明細

 医療機関の窓口でもらう領収書も変わる。検査の内容や薬品名、その回数や使用量まで詳細に記した明細書の発行が、レセプト(診療報酬明細書)の請求を電子化している所では原則的に義務付けられた。

 患者団体などからは「医療の情報開示が進む」と歓迎の声が上がる。ただし、例えば病名の告知を十分に受けていない人が、明細で薬品名や検査内容を見た結果、心構えのない状態で病名を知ってしまうといったことも想定される。

 医療制度に詳しい高崎健康福祉大専任講師の木村憲洋さんは「診療の中身は究極の個人情報。明細書付きの領収書をもらったら、扱いや保管場所、処分の仕方などに注意してほしい」とアドバイスしている。

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 ◇高血圧症患者の1カ月分の薬代の例◇

         これまで(先発薬使用)    4月以降(後発薬使用)

薬剤料      80円×30日分=2400円 40円×30日分=1200円

調剤料など             1210円          1290円

薬学管理料              450円           450円

合計                4060円          2940円

患者負担(3割)          1220円           880円

 ※院外の保険薬局で薬を調剤した場合

毎日新聞 2010年4月2日 東京朝刊

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