生命保険最大手の日本生命保険の今年度末の契約者数が999万7千人となる見通しだ。1千万人の「大台」を割るのは、同社の統計がさかのぼれる1982年度以降、初めて。少子高齢化による国内の保険市場の縮小を象徴するもので、生保の経営環境は厳しさが増している。
日生は、保険料の運用益などを配当として還元する契約者と、無配当の契約者の総数を01年度から公表。01年度末に1255万人だった契約者は、共働き世帯の増加による主力の死亡保険の不振や外資系生保との競合などを背景に年30万人以上のペースで減り、08年度末は1001万人になっていた。
有配当保険の契約者数だけを公表していた00年度以前では、94年度の1515万人がピーク。記録が残っている82年度も契約者数は1225万人で、長らく1千万人の大台を維持してきた。
保険会社にとって、契約者の減少は「収益基盤」を失うことを意味する。新規契約がとりづらいなかで、生保各社は既契約者に新しい商品を重ねて買ってもらうことなどで収益力を保ってきた側面が強いからだ。日生も「1千万人維持のため、営業に号令をかけてきた」(幹部)が、解約などが新規契約を上回る傾向に歯止めがかかっていない。
契約者の減少は日生に限らず、大手共通の悩みだ。2位の第一生命保険は08年度末の契約者が823万人。最近5年間は年平均13万人のペースで減っており、「800万人割れ」が現実味を帯びてきた。有配当の契約者数のみを公表している住友生命保険(08年度725万人)と明治安田生命保険(同623万人)も、それぞれ13万人、24万人のペースで減っている。