アポロジム(大阪市)のアポロ嘉男会長(59)が4月1日からの西日本ボクシング協会会長就任を前にデイリースポーツの取材に応じ、ボクシング界の改革プランを打ち出した。現役時代は東洋ジュニアライト級王者として活躍し、世界挑戦も3回経験。「ファンも、選手も、ジムも、みんなが喜ぶ協会にしたい」と今後、選手目線での改革を試みるという。
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新会長が示す“みんなが喜ぶ協会”の象徴とも言えるのがグローブだ。
通常、グローブは選手個人のものではなく、協会が所有し、選手は協会から借りる形でグローブをつけて試合をし、試合後は協会にグローブを返す。“使い回し”が原則となっているため、基本的にグローブが選手に渡ることはない。
「長い間、僕も選手をしてましたけど、手元にあるのは世界戦のグローブ一つだけ。ほとんどの選手は一つも持ってないと思います。ただ、グローブは心の勲章なんですね」
そこで、希望者に実費でグローブを譲渡するシステムをつくることを現在考えているという。「選手がグローブを手に思い出話をいろいろな人に話すことで、いいファンが増えてくれたら。細かいことですが、そうやって少しずつ気を配っていくことが、“みんなが喜ぶ協会”につながっていくんじゃないか」と新会長は言葉をつなげた。
ファン開拓は選手にも、ジムにも、プラスとなる。現役チャンピオンによるボクシング教室を開くなども考えている。「ボクシングには怖いイメージもありますけど、ボクサーはこんなにも優しくてまじめなんだという部分が見えたら、好きになってくれる人は確実に増えると思います」。
長期的にはスターの育成だ。「辰吉(丈一郎)君みたいにパフォーマンスもあって、長谷川(穂積)君みたいなまじめさもあって、強い選手が出てきてくれるのがファン拡大には一番。そのために協会としてできることは何があるのか、いろいろ考えて前向きなしんどさを味わわせてもらってますわ。幸せです」。新会長の視線はどこまでも真っすぐだった。