北朝鮮:「デノミ失敗」実務責任者を解任

2010年2月3日 15時0分 更新:2月3日 17時36分

 【北京・西岡省二】北朝鮮の朝鮮労働党が、昨年実施した通貨ウォンのデノミネーション(通貨呼称単位の変更)で国内経済が大混乱に陥ったとして、デノミ政策の実務責任者である朴南基(パク・ナムギ)党財政計画部長(75)を解任していたことが分かった。北朝鮮政権に近い関係者が毎日新聞に証言した。北朝鮮当局がデノミ政策の失敗を認定し、関係者を処分していたことが明らかになるのは初めて。

 朴部長の解任は、最高指導者の金正日(キム・ジョンイル)総書記の指示とされる。金総書記をはじめとする指導部がデノミ政策の失敗に強い危機感を抱いていることが浮き彫りになった。

 北朝鮮は昨年11月30日にデノミを実施し、旧貨幣100ウォンを新貨幣1ウォンと交換した。インフレ抑制やたんす預金の吸い上げ、綱紀粛正などが目的だったとされる。だが、実際には物価の高騰や流通の停滞が続き、市民の不満が高まっているという。

 朴部長は05年9月、党中央委員会部長に任命されて以後、金総書記の経済ブレーンとして民間経済を総括。デノミ政策でも中心的役割を果たしたとされる。関係者によると、先月20日前後に解任された。金総書記は、昨年の経済キャンペーン「150日戦闘」「100日戦闘」を引き合いに、「デノミの失敗で二つの戦闘による成果が台無しになった」と強く非難したという。

 ◇宣伝で引責か、映画部長更迭

 一方、党の宣伝と思想教育を統括する核心部署・党宣伝扇動部の前副部長だった崔益奎(チェ・イクキュ)党映画部長(76)も同時期に更迭されたという。「デノミ政策での過剰宣伝の責任を取らされた」と言われるが、具体的な処分理由は不明。

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