雑記:2010/04/01
|
力尽くでお口いっぱいにマトンを詰められる日々に、私の心はすっかり荒んでしまったのです。 そう。
「マトンさえなければ……マトンの国、潰す」
そう、短絡に思い至るぐらいには。 気がつけば、双良との戦いの日々で、私は1つの国を滅ぼすぐらいの力を身につけていました。
「双良、ボクは家を出るよ……さよなら」 「そう? 気を付けて行ってらっしゃい。夕飯はロールマトンだよ」 ――二度と帰らねぇ。 |
雑記:2010/04/01
 |
【CMコーナー】 美春・千鳥「ねぇちゃん、ごはーん」 椿 「ほらよ、今日も艶々綺麗なずんだ餅だべっちゃ。食え」 美春・千鳥「…………」 椿 「どーした? いらねぇなら食っちまうぞ?!」 美春「毎日、ずんだばかりです……」 千鳥「児童虐待だね」 美春「体にもよくありません」 千鳥「てか、ずんだより枝豆で食べたい」
用心棒椿、涙の出奔。
『―御萩侍 劇場版―』
リヒト・シアターで好評上映中! |
雑記:2010/04/01
 |
>嘘つき鳥3 今日も独り空を見上げていたら、もう聞けないと諦めていた声が響いた。
「迎えにきたよ」
躊躇いなく不幸の導き手である私を抱く。 逃げようとしたら強い力で羽交い締めにされた。 「大丈夫だよ、怖がらないで……」 その人は私の額に唇を寄せて囁いた。 「貴方を飼うのを反対した怖いお父さんはやっつけたから」 だから安心してうちにおいでと、頭を撫でられて、私の口から喜びの歌が零れる。
「なぁ〜ん」 |
雑記:2010/04/01
 |
>送り火 みんな燃えていく。
兄様と呼び慕ってくれた唇も、 艶やかな黒髪も、 僕を見つけると嬉しそうに笑った瞳も、 大切にしていた真っ赤なランドセルも、 旅行先で一番に買った銀飾りも、
みんなみんなみんな。
煙になって天に帰るのか。 これは生まれ変わるための儀式だと、お婆様が言った。 泣いて泣いて母様は「一秋さんはいなくならないで」と絞り出した。 父様は無言でじっと中空を睨んでいた。 |
雑記:2010/04/01
|
僕は。 僕はね、美春。
もう逢えないなんて、嫌だ。
その夜。 僕の元に小鳥をあしらった銀の胸止めと鬼灯の鈴を手に、美春が還ってきました。 |
雑記:2010/04/01
 |
>嘘つき鳥2 ――嫉妬。 人の死を感知してそんなコトを感じるのは初めてだった。 淡い金糸の少年、最初は彼が闇に呑まれるのだと思った。 けれど……瞳を閉ざすのは、傍らに立つ青年だった。 からんと、少年と揃いの銀の指輪が床に落ちる音、それが終の合図。
「……」
死が視えた後、無駄だと知りつつ私は祈る。 どうかその人が死にませんように、闇に呑まれませんように、と。 今回も祈ったつもり、だけれど。 嘘 だ。 |
雑記:2010/04/01
|
金の少年は護られている、赤い瞳の青年に。 なのに彼は世界そのものに疎ましさを感じている……? 気怠げな眼差しも、ほの白い頬も……数多に向ける秀美な笑顔すらも、深い憂愁が漂っている。 ずるい。 羨ましい。 でもきっと、辛い場所にいるのだろうと思い直す。 ひとりで気楽に生きる私より、彼が思い悩む事は幾千万なのだろうと。
だけど貴方には唯一人の『アスト』が居るじゃないか! |
雑記:2010/04/01
|
少年のように世界を疎ましく感じれば、あの人も迎えに来てくれるのだろうか?
でもほら、貴方のお陰で世界はこんなにも穏やかな色彩の中、時を刻む。 ……そうして私を忘れた貴方の時間も過ぎていく。 護ってくれなくたっていい。 ただ貴方がそばにいて微笑みかけてくれれば、私の名を呼んでくれれば……そうやって欲はどんどん加速する。
でも再び逢える刹那と引き替えに、この命を亡くしたって構わない。 それは本当。 |
雑記:2010/04/01
 |
>嘘つき鳥 大好きなおばあちゃん猫は、黒い怪物に食べられた。 近所のお姉さんは、腕のもげた男に殴り殺された。
誰も信じてくれない、けれど彼らはいなくなった。 私に近づくモノはみんな死んでしまう。だから私は触れる人全てを突き飛ばす。 おばあちゃんもお父さんもお母さんも……みんなみんな、死んで欲しくないから。 いなくなるぐらいなら、何もいらないひとりでいい。
だからその人も突き飛ばした。 |
雑記:2010/04/01
|
けどじっと私を見つめ考えた後、かの人は全てを包むような眼差しで問い掛ける。 「大丈夫?」 みんな死んでしまうだから触れるなと告げれば、笑いながら私の手を取った。 「だったら怖いモノをやっつけられるように強くなる」 きらきら、誰よりも強い光を身に纏い。
「だからひとりで泣かないで」
泣かない私を抱きしめて、髪を梳くようにずっと撫でてくれた。 この腕の中に永遠にいたいという願い――でもそれは無理な相談。 |
雑記:2010/04/01
|
「またね」手を振るかの人に、私は「さよなら」と振りかえした。 きっと私を忘れてしまう、もう二度と逢えない。 だから「さよなら」 それでいい。 もう充分すぎる程の宝物を私はもらった。 瞳の色と同じ血しかない狂気の世界を、蒼天に抱かれし穏やかな世界に変える、それ程の宝物を。 大好きも、そばにいて欲しいも、囀ってはならない。
足元で揺れる勿忘草が黄昏の茜を吸い、とてもとても綺麗な日だった……。 |
雑記:2010/04/01
 |
>冥歌 8つの春、妹が生まれた。 烏羽色の髪と紺瑠璃の瞳が僕によく似た女の子は美春と名付けられた。 父様母様、お爺様とお婆様の慈愛を受けて、彼女はすくすく成長した。 もちろん僕も素直で春の陽だまりそのものの少女が、大好きで仕方なかった。 首が据われば抱っこして、歩けるようになれば手を引いて、僕はいつでも美春と一緒。 この小さな妹を何があっても護るんだと、生まれてすぐの微笑みを見て誓ったから。 |
雑記:2010/04/01
 |
>某年 1月 「兄様兄様〜」 ぱたぱたぱたぱた。 玄関先で背中に聞こえる軽い足音に、僕は頬を緩める。 「ただいま、美春」 「あ、おかえりなさい」 慌ててちょこんと頭を下げてから、美春は靴を脱ぐ僕の肩に掌を置きおしゃべりをはじめた。 「兄様、今日は兄様の学校に行ったんですよ!」 「僕の学校……ああ、そうか」 笑顔の前髪をさらりと撫であげ気がついた。 この春から美春は小学1年生、銀誓館学園の仲間入りだ。 |
雑記:2010/04/01
|
僕が思い当たった様子を見出し、美春は嬉しげに破顔する。 「はい、春からは一緒に学校です」 体をひねり誇らしげに真っ新なランドセルを見せる様が微笑ましい。 お爺様に買って頂いたランドセル、まだ小さな背中には大きいけれど……。 いつかは相応しく、更にはランドセルが小さく見えるぐらいに背が伸びるのだろうか? 「うん、一緒に学校に行こうな」 「はい!」 ――桜綻ぶ春が今から楽しみだ。 |
雑記:2010/04/01
 |
>某年 6月 早い物で、美春が小学3年生、僕も高校2年に進級した。 「兄様、修学旅行のお土産を、楽しみにしていますね」 赤いランドセルには、去年の鬼灯市で買った鬼灯のキーホルダー、ちりり鈴音が耳に涼やかで。 「ああ、どんなものがいい?」 「兄様の買って下さるものなら、何でも嬉しいです」 そう笑う美春の髪をぽんと撫でて、僕は集合場所の駅へと向かう。 |
|