空白革命
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2010/04/01更新
 雑記:2010/04/01
【四月のもえちょこ】
「ちょこ殿……いや、知代子君、隠さずに言うよ」
 桜を背にして彼は春風のように笑った。
「僕は君が好きだ」
 風はいつか、雨を呼ぶ。
「だから、本当のことを言わなくちゃいけない!」
 ナイフを握り

 明は自分の手首を切り裂いた。

 滴る血液。
 知代子の言葉を無理矢理被せるようにして、彼は叫んだ。
「僕は、草冠明は……現代を壊しに来たんだ!」
 鮮血が桜に吹きかかる。
 そして桜は……。

 雑記:2010/04/01
【調停人揚羽夏希】
 番長戦争・木更津地区
 暗黒番長とチンピラ番長の対決直前、彼らの間に激しい光が差し込んだ。
「だ、誰だ!」
 見上げればそこに、高圧投光器で照らされた人型シルエット。
「私か? 私の名前を聞いたのか?」
 ロングの黒髪風にゆれ、何故か幼稚園スカートを翻し、謎の影は言い切った。
「趣味は勧善、特技は懲悪! 無限会社アイスピリッツ・特殊調停人、揚羽夏希だ! テメェの喧嘩、停めに来たぜ!」

 雑記:2010/04/01
(2)
 言うが早いか影は跳躍。
 太陽から急降下する少年誌主人公が如く、夏希のハイヒールはチンピラ番長の頭頂部を踏んづけた。
「ぐげっ!」
 分厚いリーゼントを踏み台にして二度目の跳躍。
 空中でムーンサルトを決めると暗黒番長の頭を掴み、着地と同時に地面に叩きつけた。
「げごっ!」
 ここまで、僅か3秒。
 両手を払う夏希を囲む、50人程のヤンキー達に、夏希は笑顔でこう言った。
「延長なさいますか?」

 雑記:2010/04/01
【四月のもえちょこ】
 某所、山中。
 向かった先は、自然公園だった。
 公園といえど獣道ばかりが続く、野性味に溢れた山道である。
 明と知代子は、他愛も無い雑談を交わしながら獣道を進んでいる。
 好きな漫画、ありえないRPGの結末……。
 その間、手はずっと繋いだまま。
「ちょこ殿、そろそろでござるよ」

 木々を焼き払ったかのような広場に出る。
 中心に、一本の枝垂れ桜が咲いていた。

「ここでござる」

 雑記:2010/04/01
【4月のもえちょこ】
 正直、明は初めてここへ来た。
 何度も行こうと思って諦めて、住所も地理もバッチリの筈なのに……。
「ちょこ殿の……家、か」
 どうやってここまで来たかも覚えていない程に……彼は、この瞬間に夢中だった。
 思い切ってインターホンを押す。
 電話で伝えたデートの約束。
 初めての約束。
 この時代でした、初めての約束。
「僕は今、約束を守りに来たんだよ」

 雑記:2010/04/01
【空白の日常】
空「……眠ってしまいました」
メ『いえすうぃーきゃん!』
空「間違った英語で何か出た!」
メ『いいえ私はメリスちゃんではありません』
空「見え見えの嘘をつくしこの人!」
メ『ところでこの雑記は何ですか。一体何ページ書くつもりですか』
空「とりあえず過去ログが全て埋まる程度には」
メ『……マジ本気?』
空「マジ本気」

続きは夕刻を待て!

 雑記:2010/04/01
【因白うさぎの解体殺陣 第1章】
 ――ギチチチチ
 ――ギギギギギギギ
 ――ギギギギギギギギギギギギギ

 ――ざくり

 ――ヒタリ
 ――ヒタリ
 ――ピタリ

「――みぃつけた」

 雑記:2010/04/01
(1)
 逢魔が時。
 金森あかねは逃げていた。
 逃避し
 逃走し
 オレンジフィルムに照らされたアスファルトの上を全力で走っていた。
 他人がこの光景を見ていたとして、理由には察しがつくだろう。
 彼女のはるか50m後方。
 亀山草介が八十八分割されていた。
 無論物理的にである。
 どれがどのパーツか分からない
 否、これが誰なのか分からない。

 雑記:2010/04/01
(2)
 傍らに落ちたパンティのみが、亀山草介の存在を残していた。
 それも既に、混濁した体液に浸って原形を喪っている。
 しかし、特筆すべきはそれではない。
 彼女がそこに存在していたのだ。
 八十八分割された人体程度が路傍の石に見えてしまう程、彼女はそこに存在し過ぎていた。
 ――ギチチチチ
 さび付いたチェーンソーを引き摺った、白髪の少女である。
 ――ギギギギギギギギギ

 雑記:2010/04/01
(3)
 赤黒い池を歩いていると言うのに、白い和服には一切の汚れが無い。
 地面につきそうな長い白髪もまた、血の一滴すら付着していなかった。
 一方のチェーンソーは、彼女が負うべき汚れを全て請け負ったかのように、血と肉と油で染まっていた。
 ――ギギギギギギギギギギギギギギギ
 だからあかねは、逃げたのだ。
 恐怖故ではない。
 不安故だ。

 雑記:2010/04/01
(4)
 もし自分が八十八分割されたとして。
 誰が私に、気付いてくれるだろうか。
 誰が私と、気付いてくれるだろうか。
 あかねは只々、それが不安でならなかった。
 殺されたくない、解体(バラ)されたくない、殺されたくない、解体(バラ)されたくない、殺されたくない、解体(バラ)されたくない、殺され……
「い、やああああああああああああああああああああああああ!!」

 雑記:2010/04/01
(5)
 ――ざくり

 金森あかねの、ポニーテールが切り落とされた。
 振り向くあかねの見たものは、はるか後方50m……八つ裂きにされた、パンティである。

(亀山草介――解体終了)
(金森あかね――解体終了)

 雑記:2010/04/01
【因白うさぎの解体殺陣 第2章】
 昼下りの午後。
 庭に設けられた円形テーブルに、数枚のポラロイド写真が広がっていた。
 『ペルセフォネ・エルフィンストーン』
 『山崎あゆみ』
 『吸血姫エレイン』
 名前を書かれなければ、本人だと分からないような、赤黒い写真である。
 写真をなぞる指が一つ。
 海音蓮見は、溜息をついた。
「連続バラバラ殺人事件……本当に起こるものなのね」
 都市伝説だとばかり思っていたわ。

 雑記:2010/04/01
(2)
 クッキーを取りに行ったまま戻ってこない武宮紫貴にも聞こえるように、蓮見は口に出して言った。
 殺人ではなく、バラバラ殺人。
「これだけ猟奇的なことをして、何か理由があるのかしらね」
 殺人には動機があり、殺しには目的がある。
 ならば、解体には動機があり、バラバラには目的があるのか。
「ただの猟奇殺人者だとしても、ちゃんと考えた上で殺すものよ」
 友達を殺してしまったリビングデッドにも、理由はある。

 雑記:2010/04/01
(3)
 ……なんて。
「本当は分かっているんです。目的は、分かっているんです」
 写真の上にティーカップを置いて、蓮見は目を開けた。
「私が分からないのは、動機の方」
 長い睫毛が揺れる。
 その視線の向こうから、相手が現れた。
 クッキーの代わりに持った何かの束を、蓮見の前に投げ捨てて、彼女はそこに存在していた。
「…………」
 完璧にストレートに伸ばされた、誰かの髪の毛である。

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