西灰三
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2010/04/01更新
 雑記:2010/04/01
●四月のもえちょこ
 私がこの時代に来る時に一度、銀誓館が負けた時に一度使っている。代償を支払うのは使う本人以外でもいいらしい。行きの時はそうしてきた。
 このメガリスがあれば銀誓館が勝つのは容易だろう。だけどこれが渡った時、『回避された未来の私』はどうなるのだろう?

 ……だから、怖かったから、渡す事が出来なかった。そして今でもまだ渡せないでいる。

 雑記:2010/04/01
●四月のもえちょこ
 桜のその場所まで、少しでも言葉を交わそうと彼は話し掛けてくる。でも私はその内容を知っている。なぜなら私は二回目だから。
 2009年4月1日、私は今日この日に戻って来た。今日から丁度一年後、聖杯戦争が起こり銀誓館は負けた。そしてそれが契機になって最終的に私がこの時代に来る事になった。
 懐にあるのはメガリス『アリアドネの糸』。歳を取るのを引き換えに時間を巻き戻すメガリス。

 雑記:2010/04/01
●四月のもえちょこ
 家の中にインターホンの音が鳴り響く。誰もいない―仮初の家族型のロボットの機能は止めてある。この家に意志を持って存在しているのは私一人。
 留守を装えば簡単なのだろうがそれではあきらめてくれないだろう。きっと彼の事だ、ずっと扉の前で待っているだろう。
 どう距離を取ればいいのか、約束をした時からずっと悩み続けている、答えは出ていない。必要なものがないまま私は玄関の扉を開けた。

 雑記:2010/04/01

今日は嘘をついてはいけない日です。

 雑記:2010/03/28

預かった帽子を見る。昔から彼が被っていたものだ、付き合いは長いからそれは知っている。いつも彼と一緒にあったものだ。
もしかしたら、自分の中の持ち切れないものを身近なものに託したりするんじゃないだろうかと。
(返さなきゃ)
そうするとこの帽子は重すぎる。それにあの時感じた気持は誰かに肩代わりしてもらうものじゃないとも思ったから。そう思って近くまで来ていた唐津さんにあずけた。『ありがとう』の言葉を添えて。

 雑記:2010/03/28

「これでコーヒーが飲めるな」
 笑顔の同僚は後ろからそう話しかけた。
「ホットで買ってきたので冷めてしまったがね」
 言いつつ片手で封を開け、苦味だけが自己主張する中身を一気に飲み干す。すぐに空になった缶をゴミ箱の中へと放り込む。
「甘いものか。悪くない。……温かい飲み物も必要じゃないかね?」
 近くの自販機を指す。彼は財布を弄びながら周りの希望を聞いていた。

 雑記:2010/03/28

「す……すきやき」
きっと、ごまかすんだって分かってた。いつもの事だから。
でも背中と左手から伝わるぬくもりだけで充分で。それに今日は頑張ったし、一緒に。
「……鴨すきが用意あるって」
 背中合わせの姿勢から立ち上がり手をつないだまま前に立つ。きっとお腹の音はごまかしなんかじゃないから。
「私もお腹すいたし。それじゃ、行こっ」
 返答を待たずに手をしっかりと握り引いていく。今日は素直でいられる気がした。

 雑記:2010/03/28

一本目の缶コーヒーを開ける。これでようやっと先程もらったプリンを食べられると彼は言った。

「ミス唐津。おそらくはそうだろう。彼は運命予報士の中でも年長でおそらく一番多くの運命を見て来た人物だ。それ故彼はあの島に行くのを自らの責務としたのだろう」

同じ立場だったら自分でもそうするだろうからね、と切ったやり取りを思い出す。
残る缶コーヒーはもう一本、静かに見える所に立てて置いてあった。

 雑記:2010/03/28

黒い点の塊にしか見えないものを遠目に彼女は同じ様に傷ついた者達が集まっている所から見ていた。とりとめのない澱んだ思いが頭上で渦巻いている中、にわかに彼女の背後で変化が起こる。その変化は野火のように広がり彼女の周りにも届く。
「やったよ! やってくれたんだよ! きっと僕達の声は届いたんだよ!!」
聞き慣れた少年の声が響く。振り向くとその声の持ち主がその場の人々とその喜びをあらゆる形で分かち合っていた。

 雑記:2010/03/28
「ほら、更紗も!」
状況の変化に追いつけず、握手をしたままぶんぶんと手を振った後、彼はまた別の者に抱きついていく。
「……助けられた、だとさ」
近くの一人がやはり嬉しさを隠せない口調で目を白黒させる彼女に端的に説明する。
「……そう、ですか」
じっと手の平を見ながら辛うじてそう返す。その手の平に幾つか水滴が生まれる。それは先程まで彼女の裡にあったものが溶けだしたものだった。

 雑記:2010/03/28

その選択。至る前に脱落した自分の弱さに悔しさが滲む。
いや、あるいは身を裂くその選択に身を置かないだけ楽なのかもしれない。
「……」
一つ、脳裏に浮かぶ手段がある。それは彼女の所属する組織にのみ許された業。けれど同時に心に生じるのは恐怖。
発せられた感情に彼女自身は戸惑う。己でもそういうものがあるとは自覚していなかったのだろう。
負けられない戦い。戦場を前にして彼女は身動きのできない自分にいら立っていた。

 雑記:2010/03/28

「「………」」
戦場の喧噪の中。
道が開けたそこで、二人が同時に口を開く。
お互いの言葉を聞いて、顔を見合わせる。
「……頑張ろう」
彼女はそう言って次の戦場へと向かう。

 雑記:2010/03/28

「……あれって……!?」
 知代子の向かった戦場にはデスサガで見たでかいジェリーがいた。
「こんなものまで呼び出すのね……それじゃ詰まるわけよ……」
 言いながらも戦うがそもそも多勢に無勢だったりしたので撤退する羽目に。
「……ナイトメアの技って敵に回すとやっかいね……」
 もう少し戦い方を変えてみようかと思ったり。

 雑記:2010/03/28

 湖畔の脇にある城への誘いが来たのは昨日の深夜だった。
 高い所から望む広がる湖面には種々のそして幾万もの数の影がひしめきあっていた。その中心にあるのは『塔』、その主である者共々倒さなければいけない相手だ。
「………」
 だが、それをこの手で成す力は無い。ならばと彼の信じる者たちが力を尽くしうち果たすことをここで見続けるだけだ。
 彼はその時が来るのを待つ。

 雑記:2010/03/28

少し早く目が覚めた。
まだかすかに頭の中にはまどろみが残る。
それを少し追い払おうと熱めのシャワーを浴びる。
湯が身の上を滑り排水溝へと飲み込まれていく。数時間後の戦場ではこの頼りない動きをするものが足場となるらしい。
眠気が去った所で浴室から出、窓に向かう。窓の外に望む背の低い古都も今日の戦いしだいで違う様相になるのだろう。
「がんばらないと」
窓に映る自分に呟く。彼女もまた世界結界を必要としているから。

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