中東ブームに沸く韓国建設業界
アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビから車で南西に4時間ほどのところにルワイス産業団地がある。同所には政府が精油・石油化学産業を育成するために建設した石油化学団地があり、GS建設やサムスン・エンジニアリングなど韓国の建設会社がプラントを建設している。同団地は国家保安施設であるため、カメラやビデオカメラはもちろん携帯電話、ノートパソコンの搬入も禁止されている。政府が発給した出入証明証を提示し、身辺調査を受けて初めて入場することができる。
■中東のプラント市場を席巻
GS建設は同所で、08年公営企業のタクリーアから受注した11億4000万ドル(約1050億円)規模の「グリーンディーゼル・プロジェクト」のプラントを建設している。同プラントは硫黄成分を10PPM以下に減らしたグリーンディーゼルを生産し、各種石油化学製品を生産するためのものだ。工事進ちょく率は現在63%で、来年7月に完成する予定だ。規模は70万平方メートルで、数10台のクレーン車が作業しており、配線や電気、土木工事などが進められている。直径70メートルに達する原油貯蔵タンクと製品貯蔵タンクが5-6個建設されている。
GS建設の社員約6000人は、35度を超える暑さの中で長袖の作業服とマスク、ヘルメットを着用し作業を行っていた。
同プラントの施行がうまくいき、韓国の建設会社への受注が相次いだ。昨年タクリーアが発注した100億ドル(約9300億円)規模のルワイス精油工場の拡張工事のうち96億ドル(約8900億ドル)ほどの工事を、GS建設とSK建設、サムスン・エンジニアリング、大宇建設が担当した。
■技術力と誠実さが魅力
韓国の建設業界は現在「第2の中東建設ブーム」に沸いている。昨年海外から受注した491億ドル(約4兆5000億円)のプラントのうち、中東地域の受注は357億ドル(約3兆3000億円)に達した。湾岸協力会議(GCC)加盟6カ国は今年、精油・石油化学製品を生産するためのプラントの新設・増設を急いでおり、韓国建設会社への受注はさらに増える見込みだ。
海外建設協会のキム・ジョングク中東チーム長は「中東で韓国建設会社が積み重ねてきた技術力と信頼が受注の原動力となるだろう」と話した。最近アブダビの原発受注と世界一高いビル「ブルジュ・カリファ」の建設などで認知度が高まっており、工期を守るため評判がよいとのことだ。
しかし不安の声も出ている。大手建設会社らが海外市場で加熱競争を繰り広げているのだ。昨年サウジアラビアのある建設契約をめぐり、2社が競争を繰り広げた結果、提示価格よりも4億ドル(約370億円)も低い価格で契約するに至った。
ある大手建設会社の役員は「国内業者間の競争が激しくなると、発注先が落札価格を叩き始めた。たとえば「A社はいくらいくらを提示したが、お宅はいくらを提示するつもりなのか」といった具合だ。
韓国の建設会社らは競争を自制しようと協議したが、強制力がないため実効性は疑問だ。KOTRAのオ・ウンチョンドバイ本部長は「プラントを総合建設事業であるため、企業ごとに長所を活かし、部門別に受注またはコンソーシアムを構成し参加するのが望ましい」と語った。
アブダビ=アン・ジュンホ記者
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